スピニングリールを買おうと思ったけど番手がたくさんあり過ぎてどれを選べばいいか分からないという方へ。
釣り種別や用途別に最適なスピニングリールの番手をまとめましたので是非参考としてください。
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最適な番手を選ぶ理由
釣りに使われるリールには狙う魚や用途別に様々なサイズが存在します。
船に乗って大型でパワフルな魚を狙うためのものや、渓流や湖で小型の魚を繊細に狙うためのものなどなど。
すべての釣りを一つのリールで対応できれば理想ではありますが、狙う魚や狙う場所、そして釣りのスタイルなどによって最適なリールの番手を選ばなければ、魚のパワーにリールのパワーが負けてしまったり、逆に繊細な釣りをしたいのに大きすぎるリールで重くて大変…といったように快適に釣りをすることができません。
ですので、対象魚種や釣りのスタイルもしくは釣りをする場所などによって最適なリールを選択する必要があり、その選択をするための指標が「番手」となります。
番手の本来的な意味
まず最初にスピニングリールにおける「番手」というのはなんぞや?という話です。
番手というのはリール本体や品番に表記されている2000とか4000みたいな4桁の数字です。
で、一応最初に書いておくと本来的には「番手」はスプールサイズを表します。スプールサイズというのは糸巻き量の目安になります。
なので本来的には番手が大きいリール=スプールサイズが大きい=糸巻き量が多いリールという意味となります。
ここで「本来的には」としているのは、実際には番手というのは糸巻き量だけでなく、リールのパワーやサイズ、そして重量などを把握するためにも用いられているため、そうした表現としています。
さらに昔に比べるとスピニングリールが細分化されてきているという状況もあります。
正直今から釣りを始めようと思われているような方からすると完全にカオスで意味不明な世界になってしまっていると思うので、そうした部分もできる限り分かりやすく説明していきます。
番手ごとの対象魚種イメージ
ということで、番手は本来的なスプールサイズだけでなく、そのリールの持つパワーやボディサイズ、そして対象魚などを把握するための数字としても用いられているのですが、具体的にどの番手がどういった魚種に対応しているのかを見てみましょう。
上記の表は私が独断を含めて作ったものなので、とりあえずこんな感じというざっくりとした番手ごとの対象魚種のイメージを掴むために見てもらえればと思います。
代表的な部分でいうと、渓流釣りやトラウトなどには2000番が使われるケースが多く、ブラックバスやエギング、そしてシーバスには2500番〜3000番あたりが多く使われています。
サーフからのフラットフィッシュや大型トラウト、ライトショアジギングには4000番〜5000番が多いですね。
ヒラマサやカンパチなどを狙うショアジギングや磯からのキャスティングには8000番〜14000番あたりが使われている印象です。
で、それ以上の番手は船に乗って記録級のなんかやべーの釣りたい人が使ってるイメージです。(クロマグロとかGTとかのレコードサイズみたいなやべーやつ)
ですので、まずは自分の釣りたい魚種に応じて上の表などを参考に購入すべき番手の目安を付けることが番手選びのスタートラインとなります。
必要な糸巻き量を理解する
では次に自分のやりたい釣りにはどの程度の糸巻き量が必要なのかを理解しましょう。
自分のやりたい釣りがシーバス釣りだったとしても、それを河川でやるのかサーフでやるのかでも必要な糸巻き量は変わってきます。
また同じリール機種でも番手や品番によって糸巻き量は変わります。
19ストラディックを例にするとこんな感じになります。
品番 | ナイロン糸巻量(lb-m) PE糸巻量(号-m) |
---|---|
1000S | 2.5-140、3-100、4-90 0.6-140、0.8-100、1-70 |
C2000S (SHG) | 3-125、4-100、5-75 0.6-150、0.8-110、1-80 |
2500S (SHG) | 5-110、6-95、8-70 0.6-200、0.8-150、1-120 |
C3000 (HG/XG) | 2.5-180、3-150、4-100 1-400、1.5-270、2-200 |
3000MHG | 8-130、10-110、12-85 1-190、1.2-150、1.5-120 |
4000(XG) | 5-170、4-150、5-125 1-490、1.5-320、2-240 |
4000MHG | 2.5-160、3-120、4-90 1.2-250、1.5-200、2-150 |
C5000XG | 4-190、5-150、6-125 1.5-400、2-300、3-200 |
基本的に番手が大きくなれば糸巻き量も増えているのが分かると思います。
ただしハイライトしているアルファベットの「M」が付いているものは付いていないものと比べて糸巻き量が少なくなっていることもありますので、このあたりの「M」や「S」というアルファベットの意味については後述します。
対象魚種別の必要な糸巻き量
では釣り種別によって糸巻き量は最低どの程度必要か、代表的な魚種や釣り種別で考えてみましょう。
必要糸巻き量についてはけっこう人によって考えが違う部分です。余裕を持ちたい性格かそうでないか?とか。
あとはスキル的な部分で、キャストでルアーをぶっ飛ばせる人はその分多めに巻いておく必要がありますし、そうでない人は少なくても良いかもしれません。
ですので下記はあくまで参考として捉えてもらえればと思います。
対象魚種 | 必要な糸巻き量 |
---|---|
トラウト・アジ・メバル 小型魚種 | 100mあれば十分 |
リバーシーバス | 150mあれば十分 |
サーフ フラットフィッシュ・シーバス | 200m以上 |
ライトショアジギング フラットフィッシュ・小型青物 | 200m以上 |
ショアジギング ヒラマサ・カンパチなど | 200m以上 |
オフショアジギング | 300m以上 |
小型魚種の場合は別ですが、基本的に釣りをする場所が海になるとキャストで飛ばす距離が伸びるのと、青物が掛かった場合にラインを出されることを考慮したりするため必要糸巻き量は増えます。
ですので河川でのシーバスの場合は150m程度あれば個人的には十分だと思いますが、仮にサーフでシーバスを狙う場合はシーバス以外の魚種が掛かることも考えて200mは欲しいと思います。
PEラインとナイロンラインの違い
必要な糸巻き量の目安が分かったら、次はラインはPEかナイロンどちらを使うか、そして必要なライン強度はどの程度か?を確認しましょう。
PEラインは素材としての強度がナイロンに比べて強いため同じ強度の場合はナイロンラインに比べて細くできます。
具体的には同じライン強度の場合、PEとナイロンでは約4倍の太さの違いが発生します。ナイロンのほうが圧倒的に太いです。
ここを理解していないとPEラインを200m巻いて使っているスプールに同じ強度のナイロンを巻こうと思っても50mしか巻けない…みたいなことが起こりえます。
ですので、最初にPEかナイロンどっちか決めておくことは重要です。もちろん後からライン素材を変えたい場合はスプールを複数持つことでも対応は可能ですが、追加の出費が発生してしまうので、最初の段階ではどっちにするかを決めた上でリールを選んだほうが良いですね。
で、必要なライン強度やPE or ナイロンどっちを使うべきか?については例えばシーバスであれば「シーバス ライン」など魚種ごとに適切なラインシステムについて調べれば様々な記事があると思いますので割愛します。
という訳で糸巻き量についてまとめると下記になります。
- PEかナイロンどっちを巻くか決める
- 必要なライン強度を確認する
- ラインシステムに対応する糸巻き量を持つ機種を探す
※ラインシステムというのはライン素材・強度・長さなどをまとめたものです
実際にリールを選ぶ時に見るのは品番
ということで番手という4桁の数字はスプールサイズや糸巻き量の目安となる数字であり、さらには対応する魚種の目安ともなる数字、そして釣り種目や狙う魚種によって必要なラインシステムが変わるということを踏まえて、実際にリールを選ぶ際に何を見るべきかを確認していきましょう。
まずこの部分を説明する前に大事なのは、実際にリールを選ぶ時に見るのは「4桁の数字(番手)」だけでなく、前後のアルファベットを含めた「品番」となります。
この品番というものを解読できるようになれば、自分の求めているリールがどれか?をさらに詳しく絞ることができます。
メーカーによって品番は少し違いがあるので、メーカーごとに説明します。
シマノリールの品番
シマノの場合はこんな品番があります。
- C3000XGM
一見するとなんとなく格好良い品番ですね。車の型番にもありそうな。
しかしながらこのシマノ品番は別に格好良さを狙ってアルファベットを付けているわけではありません。
各アルファベットや数字を分解して、それぞれが何を表しているか?を記載するとこうなります。
まず頭に付いている「C」はコンパクトボディで、正直この「C」も品番のカオスさを助長している存在なのですが、要するに表記されている番手よりも1個ないしは2個小さいボディサイズを使ってますよ、という意味になります。
はい、これだと意味分からないですよね。
分かりやすく言い換えると、この例となる品番の場合は「3000番スプールだがボディは2500番(もしくは2000番)サイズだよ!」ってことです。
はい、これだと(本来的には)番手=スプールサイズって話なのに、2500番サイズのボディってどういう意味やねん?って話ですよね。
そこで先程の番手と魚種の対応イメージが必要となります。
純粋な3000番であればシーバスやエギングに適切なサイズとなりますが、C3000番となると2500番ボディ(もしくは2000番ボディ)に3000番のローターとスプールを搭載している番手ということになります。
はい、めちゃくちゃ複雑です。冒頭でも書いていたとおり番手の細分化というのはこういう部分になります。
で、なんでこう複雑にしないといけないのか?という話なのですが、要するには釣り人たちの要望が細分化されてきて、それにメーカーが応えた結果となります。
具体的な例として対象魚がシーバスの場合、シーバスに対応できるリールを…と考えると2500から4000番あたりを買うことになります。
で、それに加えて軽いリールが欲しいんだよなぁ…となった場合、2500番が軽さにおいては最も有利です。
しかし2500番だとシーバス対応ボディとしてはほぼ下限サイズとなるので少し強度やパワー的に不安…というような場合にC3000番が出てくるのです。
先程も書いたとおり、C3000番というのは2500番ボディに3000番のローターやスプールを搭載しているハイブリッド的な番手となります。
ボディ自体は2500番なので、基本的には内部のギアの大きさなどリールパワーに繋がる部分は2500番に準じていますが、実際はC3000番の場合は純粋な2500番に比べて若干ギアが大きくなっていたりする場合もあります。
そうした結果、2500番だと少し不安だったけどC3000番なら軽さとパワーがちょうどいい。というような塩梅になります。
これが「C」という存在の意味です。
他にもC2000番の場合は1000番ボディに2000番ローター+スプール、C5000番の場合は4000番ボディに5000番ローター+スプールといったような形でコンパクトボディは様々な番手に存在します。
この「C」という存在はリールの番手を分かりづらくしている要因でもありますが、とはいえユーザー側の細分化されてきた要望に応えるための解決策でもあるため、分かりづらいけど致し方ない存在として認識しましょう。
というか番手というのがスプールサイズを表していているのであれば、本来はボディサイズを表すものが別に存在しないと駄目なんですよね。例えば小型ボディの場合はSとか大型ボディはLとかXLとかXXLとか。そうしたボディサイズを表す品番があればS3000XGMみたいな感じで小型ボディに3000番(糸巻き量)のスプールでエクストラハイギア、みたいな感じでCとか付けなくてもボディサイズ+スプールサイズという切り分けて表記できるので分かりやすくなるんですけども。でももはやメーカー側が「番手言えば大体のボディサイズ分かるやろ!ガハハ!」みたいな感覚なので、ここは現状として「番手は本来的にはスプールサイズを表すが、ボディサイズの目安にもなっている」ということで勘弁してください。分かりやすい統一規格作ってくれよってだけの話なんですけど、とりあえず現状ここについては「こういうもんなんだ!」っていう感じで理不尽さを飲み込んでください。
ということで出だしから「C」で相当な文量をとられてしまいましたが説明を続けます。
上の例となる品番で3000の後ろに付いている「XG」はエクストラハイギアという意味でギア比を表しています。
要するにはハンドルを1回転させた時にノーマルギアに比べてたくさん糸を巻き取りますよってことです。
他にはHG(ハイギア)やPG(パワーギア)もしくはギアについてなにも表記されていない場合がありますが、それぞれの意味合いは下記になります。
- XG=エクストラハイギア、最も1回転ごとの巻取り量が多い
- HG=ハイギア、ノーマルギアやパワーギアに比べると1回転ごとの巻取り量が多い
- PG=パワーギア、1回転ごとの巻取り量は少なく巻上げパワーが強い
- 表記なし=ノーマルギア、PGと同じと思って問題なし
このギア表記に関しては分かりやすいですし特に問題ありませんね。
ギア比については基本的にルアーの回収速度や手返しの良さが考慮されるケースが多いのでエクストラハイギアもしくはハイギアが多く選ばれます。
しかしハイギアであるということは、例えば船に乗って重たいジグを深い場所から100m巻くぜ!みたいな場合にかなり大変です。
ですので、そうした釣りをする場合はギア比の低いパワーギアやノーマルギアを選択することで巻上げ時の負担を減らすことができます。
ということでギア比についてはどういう釣りをするか?によって選べばいいでしょう。
少なくとも船に乗ってジギングなどをしないよ、という場合は無難にHGを買っておけば失敗は少ないと思います。
で、次に「M」です。
Mは上の画像に記載している通りミディアムディープスプールという意味なのですが、要するに3000番本来の糸巻き量よりも巻ける量が少ないスプールってことです。
他に「S」というのが付いている場合もあり、それはシャロースプール(浅溝スプール)となり、さらに糸巻き量が少なくなります。
要するに、パワーのある大きなボディサイズのリールが良いけど糸巻き量は少なくて良いよ!という場合に、こうしたSやMというスプールが必要になってくるのですね。
それが品番としてスプールサイズを表す番手と一緒に記載されているので多少カオスになってしまっているのですが、とはいえ求めるリールパワーと必要な糸巻き量が比例しないケースは多いので致し方ない部分です。
とりあえず初心者の方は明確な目的や理由がない場合はSやMが付いているリールを購入する必要性はあまりないかと思います。
例えば1号のPEラインを200m巻きたいけど、スプール的には300m巻ける場合は下巻きをすれば対応できますが、逆の場合で150mしか巻けないスプールに200m巻きたいとしても物理的にどうしようもなくなります。
ダイワLTリールの品番
次にダイワの品番を見てみましょう。
私の持っている19セルテートはLT5000D-XHという品番になりますが、これを同じく分解してやるとこうなります。
左側のLTはLight & Toughシリーズの機種であることを表しています。
ダイワの場合はLT機種かそうでないかによって番手の基準値が変わっているので、LTというのも品番に含まれます。
今後は大体の機種がLT化していくはずなので複雑さは解消されてくるかと思いますが、簡単に説明すると、ダイワのLTではない機種の場合は同じ番手でもシマノよりも少し大きめのボディサイズでした。
ここは各メーカーの番手が表すボディサイズの基準が違ったということですね。
それが現行のLT機種の場合はダイワシマノはほぼ同じ基準になったと考えていいでしょう。
ですので例えばシマノの3000番リールを使っていてダイワに乗り換える場合、乗り換え先のダイワの機種がLT機種の場合はそのままLT3000番を買えば大体大丈夫ですが、LTでない機種の場合は2500番を買わないと大きすぎる可能性がありますので注意してください。
で、品番に戻りますがスプールサイズを表す5000という番手、深溝スプールでエクストラハイギアとなります。
品番について要点をまとめると下記になります。
- Cはコンパクトボディを表す(ボディサイズに影響する)
- XG・HG・XHなどはハイギア機種を表す(巻取り量に影響する)
- D・M・Sはスプールの溝の深さを表す(糸巻き量に影響する)
ということで、「C」という部分については慣れないと複雑で分かりづらさがありつつも、品番を見ることで自分の求めるリールかどうかを判別できるようになるという説明でした。
番手によるサイズ感・重量比較
では次に番手によって実際どの程度サイズが変わってくるのか?という点を紹介していきます。
私の持っているC2000番〜5000番のリールを並べてみました。左からC2000、C3000、4000、5000となります。
見てもらえれば分かると思いますが、大型番手になっていくつれてボディサイズが大きくなってきて、さらにハンドルも長くノブも大型化していきます。
これは番手が大きくなるにつれて狙う魚や対象魚種も大きくなってきて巻上げに必要なパワーも大きくなるため、ハンドルを長くしてノブも力を入れられる形状となっているからです。
しかし力を入れられるからといっても、リール自体がそれに耐えられなければ壊れますので、番手が大きくなれば内部のギアなども大きくする必要があり、それに伴ってボディも大きくなるという理屈となります。
そしてサイズが大きくなるということは当然重量も変わります。
19ストラディックを例に番手ごとの重量を下記に記載します。
番手 | 重量 (g) |
---|---|
1000 | 185 |
C2000 | 185 |
2500 | 220 |
C3000 | 225 |
3000 | 245 |
4000 | 280 |
C5000 | 295 |
19ストラディックの場合は最も小さい番手の1000番は185g、最も大きい番手のC5000は295gと100g以上の差があります。
1000番とC5000番で悩む人はいないと思いますが、仮にシーバス用に19ストラディックを買おうと考えた場合、候補となる番手としてはC3000〜4000あたりになってくると思います。
その場合C3000は225g、4000だと280gとなり55gの差です。
たかが55gとはいえ、例えば9ft前後のシーバスロッドの場合はだいたい150g前後の重量となりますので、リールと組みわせた場合に全体の約12%〜15%の差となってきます。
じゃあこうした場合にどう選ぶのか?というと、ランガンなどをよく行う軽快性を重視する人はC3000を選び、大型のシーバスを狙っているもしくはパワーが強いロッドを使っている人は4000番を選び、軽快さとパワーのバランスを取りたい人は3000番を選ぶというようなイメージになります。
ですので、これはどの魚種でも同じですが○○の場合は○○○番のリール!というような正解は1つだけではないということですね。
釣りたい魚種や自分のスタイル、そしてそれに最適な番手を選ぶということが大事なのです。
番手選びのまとめ
ということで長々と書いてきましたが、スピニングリールを選ぶ場合の番手の選ぶ際のポイントを下記にまとめます。
- 自分の釣りたい魚種に対応する番手を把握する
- 自分のやりたい釣りのラインシステムを理解する
- ラインシステムに対応する品番を探す
- 自分の釣りスタイルに合った番手を考える(重量やサイズ感)
これらを踏まえて、自分の求めるベストなリールを探すことが失敗が少ないリール選びとなります。
ただまあ、最後にこんなこと言うのもなんですけど、釣りをずっとやっていれば全部の番手を揃えていくことになりますけどね…(沼)
というわけで皆様のリール選びの参考になれば。
コメント
ダイワリールのPLSって、記事の写真みたくパカッと開くので!?