はい、2021年も始まったばかりなタイミングではありますが、完全に今更ではありつつも16ヴァンキッシュを購入しました。
「19ヴァンキッシュ」ではなく「16ヴァンキッシュ」です。
旧世代機種とはなりますが、クイックレスポンスシリーズのハイエンド機種です。しかもマグネシウム製のフルメタルボディですよ!
奇しくも最近ダイワの新作リールのルビアスエアリティがマグネシウムモノコックというスペックで発表されたタイミングでもあるので、これもなにかの縁だと思ってインプレしていきます。(←関係ない)
購入理由
現在シーバス用に使えるリールがツインパワーXD C3000XGだけなのですが、にも関わらずロッドは増えてきている状況となり、ロッド2本体制で釣行する場合などに備えて…と考えての購入です。
あと19ヴァンキッシュは人気もあるため新品中古ともにまだまだお高いですが、16ヴァンキッシュは中古だと値段もこなれてきているので程度良品でも2万ちょっとで購入できるんですよね。
というか2年くらい前に在庫処分的な感じでいろんな釣具店で半額セールとかもやってたみたいですし、16ヴァンキッシュは人気無いんですかね(笑)
ステラは年式古くても値段全然落ちないのに…
ま、とはいえコアソリッドシリーズの頂点ステラと並んで、クイックレスポンスシリーズにおいてはシマノのハイエンドとなる機種ですので、一度はシマノのハイエンドを使ってみたいと思いまして今回購入しました。(いつかはステラ)
購入した番手とスペック
今回購入したのはシーバスをメインに、サーフにも持ち込めそうなサイズ感となる3000HGMとなります。
16ヴァンキッシュ3000HGMのスペックは下記になります。
品番 | ギア比 | 実用ドラグ力 最大ドラグ力 (kg) | 自重 | スプール寸法 (径mm/ストロークmm) | ナイロン糸巻量(lb-m) フロロ糸巻量(lb-m) PE糸巻量(号-m) | 最大巻上長 (cm/ハンドル1回転) | ハンドル長 | ベアリング数 S A-RB/ローラー | 本体価格(円) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
3000HGM | 5.8 | 3.5 9 | 210 | 46.5/14.5 | 8-130,10-110,12-85 8-110,10-90,12-80 0.6-440,0.8-300,1.0-220 | 85 | 55 | 12/1 | 58,800 |
3000HGMの構成は少し複雑で、簡単に言うと4000番ボディに2500番のローターやスプールを載せている番手となります。
具体的にはボディ・ドライブギアは4000番、ローター・スプール周りは2500番、ピニオンギアやウォームシャフト・メインシャフトなどは3000番専用という複雑な組み合わせのようです。
ですのでボディサイズなどは4000番準拠となっているにも関わらず210g!さすがヴァンキッシュ超軽いですね!
19ヴァンキッシュは同番手で185gなのでさらに25gも軽い訳ですが、とはいえ私が使っている17ツインパワーXD C3000XGが2500番ボディにも関わらず235gということを考えると210gでも十分すぎるほど軽いです。
そして19ヴァンキッシュとの違いとしては16ヴァンキッシュはマグネシウム製のフルメタルボディです。
ボディに樹脂素材を用いることの良し悪しは置いておいて、やっぱりフルメタルというのは安心感がありますし、理屈抜きでなんとなく良いものだと感じています。
とはいえ、ヴァンキッシュをはじめとしたクイックレスポンスシリーズは軽くてなんぼのシリーズだと思っているので、樹脂を使って軽くするという方向性は正しいと思いますし、そうした意味で19ヴァンキッシュは当然の進化をした機種と言えるでしょう。
外観インプレ
ということで外観を見ていきましょう。
ボディ色は薄めのガンメタって感じで、15ストラディックのシルバーを少し濃くしたようなカラーです。
ハンドルアームとスプールはかなり濃い紺色で、ベールアームやラインを巻く部分は金、その他差し色で金が入りつつ、スプールエッジは完全な黒、ドラグ部分は樹脂っぽい生地が透けている黒というカラーリング。
正直な感想としては全体的に色がバラバラでとっちらかってる感じがしてあんまりカッコよくはないですね(笑)もっとシンプルにできないものか…というかなんかしら金色は入れないと駄目とかいうリール業界の紳士協定でもあるのか…
19ヴァンキッシュはこの反省を活かして黒に統一した気がしたのではないか…とも思えます(笑)
しかしこのVanquishというロゴはカッコいいですね。ハンドルアームにさりげなく入っているのもカッコいいと思います。
スプールやローターが2500番のものが使われているので全体で見ると少し小さく感じますが、ボディは4000番となるので、スプールを外したサイズ感で見るとやはり4000番サイズだなと再認識します。
外観見つつ軽くメンテしてみる
ということで外観を眺めていたのですが、中古ということで多少気になる部分もあったのでメンテなどしてみます。
まずはこのドラグ内ですね。グリスが完全に乳化していました。
このへんをバラして、古い乳化したグリスを取り除きます。
清掃したのちに、新しいグリスを塗布して元通りに組みました。
ドラグ全部バラすほど汚れていなかったですが、乳化したグリスだけだと防水性が怖いので軽い清掃とグリスの塗布って感じですね。
ついでに純正のゴム製のT型ノブはベタつくし使いづらいので、ベアリングの清掃のついでに以前購入していたEVA製のラウンドノブに付け替えました。
すぐに駄目になるという悪名高い一体式となり始めた初期のラインローラーですが、今回の個体は問題ないようで安心しました。オイルを差したらスムーズに動きました。
ベールアームはチタンのワンピースとなっていて、これはクイックレスポンスシリーズ共通のものだと思います。
その後ベールアームの可動部やウォームシャフト部などに注油してメンテは終了です。
ロッドに装着したイメージです。
ラウンドノブに変えたことで少し大型リールな雰囲気になりました。
あとはスプールサイズが小さいのでパッと見は4000番ボディサイズには見えない3000HGMですが、実際ロッドに付けてみるとリールフット部が長く、パッと見の印象よりもちゃんとした4000番リールな印象になります。
使い心地インプレ
巻き心地
ということで実際に巻いてみた印象ですが、巻いてみて一番に感じたのは圧倒的な巻き出しの軽さです。
比較対象は同じクイックレスポンスシリーズの17ツインパワーXD C3000XGとなります。
このツインパワーXDもマグナムライトローター搭載で購入当初は巻き出しの軽さに驚きましたが、この16ヴァンキッシュはそれ以上の圧倒的な軽さです。
私の使っているツインパワーXDはエクストラハイギアで今回の16ヴァンキッシュはハイギアとなるので、ギア比の影響も多少はあるかと思います。
しかしC3000番のツインパワーXDに比べて4000番のギアなどを使っている16ヴァンキッシュ3000HGMの方がギア自体が全体的に大型となり巻き感は重くなるはずですので、これはギア比だけの影響ではないと思われます。
この圧倒的な16ヴァンキッシュの巻き出しの軽さは、ローターの軽さやギア周りの性能という基本的な性能がツインパワーXDよりも優れているということもあるとは思います。
しかし個人的な推測ではありますが、それらの基本性能に加えて3000HGMという番手の構成上、4000番および3000番サイズのギアで2500番のローターとスプールを回しているから余計に軽くなっているのではないかな?と思います。
もしかしたら3000HGMは他の番手と比べても特に軽くなっているのかなと…16ヴァンキッシュの他番手と比較していないので確証は何もないですが。。
というかそういう理由とか無いとここまで軽くならんだろ…というくらい、本当に驚くべき巻き出しの軽さです。
具体的には、さあ回そうと思ってハンドルノブに指をかけると、その指をかける時の僅かな衝撃で既に回り始めている…というような感覚です。
ちょっとこれは慣れないと気持ち悪いですね。
そして巻き出した後も巻き心地は非常に軽く、マイクロモジュールギアのおかげかノイズを感じることもありません。
しかしヌルヌル感やしっとりした感じも特に無く、巻きの質感のようなものは薄いです。
質感云々ではなく、限りなく無抵抗に近い感覚で回せるという感じですね。
まあこれに関しては巻きの軽さを優先する以上仕方ない部分だと思います。質感とか求めるならツインパワーなりステラにしなさいということでしょう。
また、マグナムライトローターは回転慣性が低いのでストップアンドゴーはしやすいですが、慣性が働きにくいため巻き続ける場合は手をしっかり回し続ける必要があるので、巻きもの系の釣りの場合は非マグナムライトローターの方が向いているのは事実でしょう。
とはいえ圧倒的な軽量性や巻き出しの軽さという大きなアドバンテージもあるので、メリットデメリットを理解した上で使うシーンを選択できればベストだと思います。
あと16ヴァンキッシュの持病とも言われているウォームシャフトの上下に合わせて僅かに「カチャ…」と鳴るノイズはあります。
個人的にはそこまで繊細な釣りをすることはないでしょうし、手元になにか振動として届くようなものではなく、あくまで「僅かな音がする」というレベルなのであまり気になりませんが、静かな室内で空回ししていると気になるかもしれません。
もう一点、少し気になったのはハンドルアーム部と純正T型ノブのガタです。
ノブに関しては純正T型ノブの取り付け部のクリアランスが若干広いせいでカタカタとなっていて、ハンドルアームも折りたたみ式の部分やハンドル取り付け根本部分が若干動くせいで全体的にハンドルを回すとカタカタというノイズがありました。
ノブは社外品のノブに交換したのでガタはなくなりましたが、ハンドルアーム側のガタは多少気になります。
というより、これくらいのガタはツインパワーXDでもあるんですけど、ヴァンキッシュはあまりにも巻きが軽いのでハンドル側のガタが気になってしまうんですよね。
シャーッと高速で巻いている時にハンドルが僅かにカタカタと揺れるのが邪魔に感じてしまうという感じです。
ただし、これに関してはリトリーブ程度の巻き速度であれば気にならないかもしれないので、今後の釣行の場で様子を見てみます。
剛性感
軽量リールということで剛性はどうかな?と思っていたのですが、さすがフルメタルということもあるのか剛性感はかなりしっかりしています。
リールフットを握った状態で本体をグッと押してみても撓みなど一切ありません。
フット自体が金属らしくカチッとしているので、フットからボディにかけて不安を感じる箇所がありません。
実際に大型の魚を掛けてみて負荷を掛けてみないと正確なレビューはできないですが、あくまでファーストインプレッションとしてはこの自重の軽さでここまでかっちりした剛性感を出しているのは素晴らしいなと感じました。
今回購入したのが3000HGMということで、剛性に多少でも不安を感じる感じる場合はシーバス専用にしても良いと思っていましたが、全然問題無さそうなのでサーフでライトショアジギングにも使ってみたいと思います。(こんな軽いリールに合わせるロッドが無いですが…)
ロッドに装着した時の先重り
実際にMWS-972-TRに装着してみましたが、懸念だった先重りはギリギリ無さそうなので問題なく使えそうです。
MWS-972-TRは9.7ftで140gですが、あとほんの少しでもロッドが重いもしくはリールが軽いと先重りが出そうなギリギリの感覚です。
とはいえもはやタックル全体重量を削るためには多少の先重りがあっても仕方ないとも思うので、許容範囲内であれば先重り覚悟で使う感じというのがヴァンキッシュシリーズの正しい使い方な気がします。(というかさらに軽い19ヴァンキッシュなら間違いなく先重りするでしょうし)
その他の箇所インプレ
その他の部分としてはドラグは爆音系です。ツインパワーXDと比べても甲高い音で「カリカリカリ!」となります。
個人的には釣行時にこの音でドラグがバーっと出たらテンション上がると思うので全然OKですが、大人しめのドラグ音を求めている方には合わないかもしれません。
ベールの開閉はツインパワーXDと同じく「カチッ!カチッ!」という感じでしっかり止まってくれるので質感は高く、不意のベール落下の心配もなさそうなので安心感があります。
あと余談ですが使っているツインパワーXDとスプールが使い回せたので入れ替えてみました。
ツインパワーXDにヴァンキッシュスプールはちょっとカッコいいかも…?
現時点での総評
ということで外観〜購入直後のインプレまで書かせてもらいましたが、まとめるとこんな感じです。
ということで、まだ軽く触っただけでありますが今回のインプレを通じて16ヴァンキッシュは「非常に尖った機種だな」と感じました。
クイックレスポンスシリーズの頂点として尖りきっている印象です。
最上級機種の割に巻きの質感などあまり感じられなかったりしますが、軽量性=リール性能と考えればクイックレスポンスシリーズの頂点機種として求められる性能にパラメータ全振りした漢の中の漢みたいな機種な気がします。
一撃で相手を倒すけど自身も一撃喰らったら即死するキャラみたいな、そういう尖り方をした機種という印象です。(別にヴァンキッシュの耐久性が無いという意味ではなくヴァンキッシュから受ける印象です)
ですのでヴァンキッシュ1台だけをメインで使うというのはちょっとアレな気がしますけど、サブ機としては最強になりそうな予感です。
今後実際にシーバスはもちろん、サーフなどでも使い込んでみて改めて詳細なレビューをできればと思います。
ということで16ヴァンキッシュの購入を検討している方の参考になれば(今更あまりいないと思いますが)
ヴァンキッシュシリーズのスペック情報はこちら
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