以前ダイワのカルディアが購入してすぐ壊れたりしたこともあり、いわゆる軽量性に特化しているリールは敬遠していたのですが、最近中古で安いのを見つけた勢いで16ヴァンキッシュを購入してしまったりしたので、改めて軽量性重視のリールと耐久性重視のリールでの違いや比較する意味は?ということを考えてみました。
ということで、シマノはコアソリッドシリーズとクイックレスポンスシリーズという形で耐久重視と軽量重視で明確にシリーズを分けているので、シマノ機種を参考に考えていきます。
コアソリッドシリーズとは
まず最初にシマノのシリーズ分けについて簡単に説明します。
コアソリッドシリーズはステラを筆頭に、ツインパワーやストラディックという機種が名を連ねている耐久性重視のシリーズとなります。
最近はツインパワーも2020年モデルから軽量性を重視するようになってきて、そのせいでボディ素材に一部樹脂を使うなどして賛否両論があったりもしますが、基本的にコアソリッドシリーズは耐久性を重視したシリーズです。
コアソリッドシリーズはフラッグシップのステラは別格として、機能やスペックとして特に尖った部分は少ない印象で、シマノとしては壊れにくく使いやすい王道リールシリーズとしてシリーズラインナップを構築している印象です。
要は特筆すべきエッジは無いが、どんな場所でもどんな状況でも安心して使えるリールはコアソリッドシリーズというようなイメージでしょうか。
また、コアソリッドシリーズのフラッグシップのステラは巻き心地が非常に良いことでも有名です。
これはフルメタルボディをはじめ、ローターや内部構造も含めて金属を多用することで質感を上げていると言われています。
樹脂は重量面では有利ですが、やはり質感という意味では落ちるということでしょう。
個人的には今から釣りを始めたいと考えている方にはコアソリッドシリーズ、中でもストラディックを選択するのが良いと思います。
ストラディックシリーズは価格と性能のバランスが非常に良いというのはもちろんですが、やはり「壊れにくい」というのはものすごく大事なことです。
別にクイックレスポンスシリーズがすぐ壊れるという意味ではなく、安心感や信頼性そして実績という意味でコアソリッドシリーズ、そしてその中でもストラディックはコスパも良く信頼性に長けていると思います。
釣りを始めて高いお金を出してタックルを揃えて、そっこーでリール壊れた…となったら釣りに対してのモチベーション下がりますからね。
なので、やはり最初はシマノであれば壊れにくいコアソリッドシリーズの中でもエントリークラスに位置するストラディックから使ってみて、もっとこういうリールが良いなぁというのが明確になってきたら、そこから自分が欲しい機種をクイックレスポンスシリーズも含めて選択していくというのが良いかと思います。
クイックレスポンスシリーズとは
クイックレスポンスシリーズはヴァンキッシュを筆頭に、ツインパワーのクイックレスポンス版のツインパワーXDやヴァンフォードなどがラインナップされているシリーズです。
耐久性重視で王道的なコアソリッドシリーズとは違い、重量をいかに削るか?巻きをいかに軽くするか?という点に特化したシリーズとなり、コアソリッドシリーズに比べるとエッジが立っているシリーズだと思います。
具体的にはボディ内部スペースの無駄を省いたり、ハンドルアームの樹脂化やベールアームのチタン化などによってリール自重を軽くしています。
19ヴァンキッシュではハンドル軸までチタン化するなど、ほんとにできること全部やってます!という感じで軽さを求めています。
そしてクイックレスポンスシリーズの一番の特徴としてはシリーズ全機種にマグナムライトローターというローターが搭載されています。
マグナムライトローターというのは、ローター形状を左右非対称にしたりローター重量を軽量化させることで回転時の慣性をあえて低減させたクイックレスポンスシリーズ独特のローターとなります。
ローターというのは回転運動をするため、左右対称で重量バランスを左右で同じにしないと回転時に「ブレる」ので使い物にならなくなりますが、それを重量バランスは整えつつも、あえて非対称形状にすることでブレずに回転慣性のみを下げるということをしているのが特徴です。
また、シマノのサイトではクイックレスポンスシリーズと書かれているものもあれば、マグナムライトとだけ書かれているものもあったりして、なぜか記載が統一されていないようなのですが、マグナムライトと書かれているものもマグナムライトローターが搭載されており、クイックレスポンスシリーズだと考えて問題ないと思います。
ですので、クイックレスポンスシリーズというのは「リール重量が軽量でマグナムライトローターが搭載されている機種」と考えていいでしょう。
シリーズによる違いまとめ
シリーズによる特徴をまとめると下記になります。
こんな感じでしょうか。
汎用的かつ王道的なコアソリッドシリーズとエッジが立っているコアソリッドシリーズという感じで、あらゆるシーンで使えるのはやはりコアソリッドシリーズですが、とはいえ軽量さを求める人にとってはクイックレスポンスシリーズの圧倒的な軽さは唯一無二の性能です。
またマグナムライトローターの持つ慣性の低さや巻きの軽さが活きるシーンもあれば、逆にネックになる場合もありますし、リール自重が軽すぎて組み合わせるロッドによっては先重りが発生するなどもあります。
ですのでクイックレスポンスシリーズは場合によってはデメリットもあるが、メリットを活かせば最高のリールにもなりえるという意味でもエッジが効いたシリーズと感じます。
幅広く使えるリールを求める場合はコアソリッドシリーズが良いでしょうが、特化したシチュエーションにおいてはクイックレスポンスシリーズの方が優れている場合もあるため、そうした点を理解しながら使い分けるのが理想的ですね。
これらのシリーズ同士で比較する意味の無さ
ということでシリーズによって大きく方向性が違うということを簡単に説明しましたが、その方向性が違うもの同士を比較する意味ってあるのか?というと…
これぶっちゃけ比較する意味無いですよね、と。
よく「19ヴァンキッシュはステラを超えた!?」みたいな見出しを見ますが、超えません。
というかシリーズでまったくベクトルが違うのに超えるも超えないもないだろと。
左に進んでるモノが右に進んでるモノを超えることは絶対に有りえません。方向性が違うというのはそういうことです。
なのに、こうした見出しが多用されているのはなぜか?というと「プロモーションだからです」という一言に尽きますし、まあそういう出し方をした方が当然みんな注目しますからね。
以前のフィッシングショーの時に18ステラと20ツインパワーの巻き心地比較ということで、村田さんにブラインドで比較してもらってどっちがステラか当ててもらうという動画があり、そこで村田さんが車のドアや自転車に例えて分かりやすく説明しているのですが、巻きの質感を上げるには金属製なりある程度の重量感が無いと駄目だと言っています。
そしてクイックレスポンスシリーズのマグナムライトローターは重量が軽く慣性も低いためローターの巻き出しやストップアンドゴーがやりやすいが、ステラはローターが金属で重いので巻き出しは少し重いが巻き始めてしまったら慣性が効くので軽く巻き続けられるとも言っています。
ですので例えばバス釣りなどミノーイングを多用する場合でストップアンドゴーが多いのであればクイックレスポンスシリーズの方がいいが、海などでルアーを巻き続ける釣りをする場合はローターが重くて慣性が効くステラなどの方が合ってるよねという、要は使い方によってどっちが良いか変わるよねということを話されていました。
この動画の中でも村田さんはヴァンキッシュとステラを上下関係でステラの方が上だ、とは言っていますが、このへんはシマノ関係者としてシマノリール全体でのフラッグシップはあくまでステラなので、そうした意味もあるでしょう。
(ちなみにこの動画では村田さんを含めてプロ3人にブラインドテストしていますが、3人とも簡単に見分けてました)
ただし、方向性が違うという点はまさに村田さんが話している内容通りだと思います。
バス釣りやっている人とサーフでライトショアジギングをやっている人に聞くのでは、どっちが良いという答えも変わってくるでしょうし、そもそも両者求めているものが違うわけですからね。
でもそれでもやっぱりステラ良いよね!使ってみたいし憧れるよね!というのは、まさに憧れでありブランド的な価値も含めての話であり、純粋な性能面以外の要素が含まれているなと思うわけです。
というか例えば高級スポーツカーの樹脂製のドアと高級セダンの重厚なドアで開け締めの時の質感を比較しても無意味やろうと。
仮にサーフであればサーフ、バス釣りならバス釣りなど使うシチュエーションも合わせて、どっちが良いか?という話であれば参考になることも多いでしょう。
村田さんのように使うシーンも交えて、こうした場合はクイックレスポンスが優れていてこうした場合はステラが優れていて、というのは非常に正しい比較の仕方ですね。
しかしシチュエーションもなにも無くヴァンキッシュはステラを超えた!?みたいなのはまさに車のドアの比較みたいなもので意味ないなぁと思うわけです。
ということで、そうしたことも含めて基本的にはシリーズが違う者同士を無理に比較する意味は無いと思いますし、比較するにしてもシチュエーションなりを整えなければ無意味だなと改めて感じました。
ですので「ヴァンキッシュがステラを〜」みたいな無意味な見出しに踊らされること無く、リールについては比較したり考えていきたいものです。
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