昨日シマノの2021年の新製品情報が解禁になったこともあり様々な情報が飛び出していましたが、私的に一番のニュースはツインパワーXDのモデルチェンジです。
とはいえ今回の情報解禁ではカルカッタコンクエストやアンタレスといったベイトリールのフラッグシップモデルの新型が投入されてきているので、シマノ的には今回はベイトに気合を入れてきたのかなと思いました。
ま、そんなことはさておきツインパワーXDですよ。
昨日取り急ぎ取りまとめた記事では、私自身が今まで17ツインパワーXDを使っていて本当に素晴らしい名機だと思っていたこともあり「これは欲しい!」となってはいたのですが、それから1日経過して冷静に考察などもした上でどうなの?というのを改めて考えてみました。
昨日取りまとめた速報記事はこちら
新旧スペック比較
とりあえず新旧スペック比較をしてみましょう。
XG番手のみに絞って下記にスペックを書き出します。
モデル | 品番 | ギア比 | 実用ドラグ力 最大ドラグ力 | 自重 | スプール寸法 (径mm/ストロークmm) | ナイロン糸巻量(号-m) フロロ糸巻量(号-m) PE糸巻量(号-m) | 最大巻上長 (cm/ハンドル1回転) | ハンドル長 (mm) | ベアリング数 BB/ローラー | 定価 (税抜) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
17ツインパワーXD | C3000XG | 6.4 | 3.5 9.0 | 235 | 46.5/14.5 | 2.5-180、3-150、4-100 2.5-160、3-130、4-100 1-400、1.5-270、2-180 | 93 | 55 | 9/1 | 48,500 |
21ツインパワーXD | C3000XG | 6.4 | 3.5 9.0 | 200 | 47/17 | 2.5-180、3-150、4-100 2.5-160、3-130、4-100 1-400、1.5-270、2-200 | 94 | 55 | 10/1 | 47,000 |
17ツインパワーXD | 4000XG | 6.2 | 6.0 11.0 | 290 | 51/17 | 3.5-170、4-150、5-125 3-190、4-145、5-115 1-500、1.5-320、2-210 | 99 | 57 | 9/1 | 49,500 |
21ツインパワーXD | 4000XG | 6.2 | 6.0 11.0 | 245 | 52/19 | 3.5-170、4-150、5-125 3-190、4-145、5-115 1-490、1.5-320、2-240 | 101 | 57 | 10/1 | 48,500 |
17ツインパワーXD | C5000XG | 6.2 | 5.0 11.0 | 300 | 53/17 | 4-190、5-150、6-125 4-170、5-135、6-115 1.5-420、2-300、3-190 | 103 | 57 | 9/1 | 49,500 |
21ツインパワーXD | C5000XG | 6.2 | 6.0 11.0 | 245 | 52/19 | 4-190、5-150、6-125 4-170、5-135、6-115 1.5-400、2-300、3-200 | 101 | 57 | 10/1 | 48,500 |
スペックを比べた時になんといっても大きく変わっているのが自重ですね。
21ツインパワーXDでは3000番で35g、4000番で45g、C5000番で55gの軽量化となっています。
ギア比は新旧で変わりなし。
スプール寸法は21ツインパワーXDの方が僅かに大きくなっています。ロングストロークスプールと相まって17ツインパワーXDに比べて若干ではあるでしょうが飛距離が伸びる要素になりそうではあります。
スプールのストロークが変わっているのは21ツインパワーXDにはロングストロークスプールが搭載されているので、その影響でストローク幅を変更していることによるものです。
糸巻き量も21ツインパワーXDの方が少し多くなっていますね。これは推測ですが、今回PGモデルが増えたりしていてオフショアジギングにも使ってもらいやすいように糸巻き量を増やしているのか?と思いますがどうなんでしょう。
そしてハンドル一回転毎の巻取り量も21ツインパワーXDの方が若干増えていますが、これはスプール径が大きくなったことによる影響だと思います。
そしてハンドル長は変わりなし。
あとベアリングの数が21ツインパワーXDの方が1個増えています。これはどこのベアリングなのか…?ボディ内部のベアリングか、もしくはスプール内のベアリングなのか。
ちょっとこのあたりは販売開始後の全バラシ情報を待たないと分かりませんね(笑)
そして定価について、昨日の記事ではほぼ変わりなしか?と書いていましたが、これ値段下がってるんですね(笑)
あくまで定価ではありますが1,000円〜1,500円値下がりしています。もしかしたら20ツインパワーの販売状況なども考慮されているのかもしれません。
技術特性比較
次は技術特性の比較です。
技術特性については正当進化というか、すでに20ツインパワーや19ストラディックにも使われているモノが21ツインパワーXDにも搭載されたという感じです。
21ツインパワーXDに新たに搭載されているものはロングストロークスプール、マイクロモジュールギアⅡ、サイレントドライブあたりですね。
Xプロテクトなどの防水機能に関しては先代から付いている機構ですので、ボディ設計が違うという点がありつつも、防水性能自体は大きく変わっていないのかなと思います。
またマグナムライトローターについては、シマノ開発陣の話によると19ヴァンキッシュと同じMGLローターという話ですので、新型のマグナムライトローターになっていると思われます。
スプールが凄いらしい
技術特性などには記載されていませんが、21ツインパワーXDにはステラSWにも使われているバリアコートスプールというものが搭載されているようです。
分かりやすく言うとスプールエッジに傷がつきにくいぜ!ということのようです。
上の画像はシマノのテスターの黒田氏のブログから引用した画像です。(引用OKとのことでしたので使わせて頂いています)
こんな感じでヤスリでゴリゴリやっても傷つかないらしいです。これはマジで凄いですね(笑)
とはいえ磯場などで岩にガンッ!といってしまったらヤスリとは比にならない衝撃ですし、凹んだりするのに対しての耐性があるわけではないので過信は禁物だとは思いますが、ちょっとした置き傷なんかはしっかり防いでくれそうですね。
ボディ設計・素材の違い
はい、ということで一番のポイントはここですね。
まずここを考えていく上で一番最初にボディの素材について私の考えを書きますが、私はハイブリットボディでも強度・剛性に問題ないと考えています。要するに半プラでも実釣に影響のあるようなデメリットがあるとは考えていません。
しかしながら、リールは趣味の道具であり実釣性能のみで語れるものではないとも思っています。ここは理屈抜きな部分ですね。
ですので半プラだから性能が悪い!とはまったく思いませんが、心情的にはフルメタルの方が趣味の道具を買うという行為に対しての満足度は高いと思っています。
ただし、今回の21ツインパワーXDはクイックレスポンスシリーズとなり、コアソリッドシリーズに比べて軽量性が優先される機種となるので、そうした機種において素材に樹脂を使うというのは仕方ないというかむしろ必然だとも考えています。
という前提がありつつ、リールを構成する素材について比較してみましょう。
20ツインパワー、17ツインパワーXD、21ツインパワーXDでのボディとローターの素材は下記です。
ボディ
20ツインパワー:アルミ&Ci4+
21ツインパワーXD:アルミ&Ci4+
17ツインパワーXD:アルミ
ローター
20ツインパワー:アルミ
21ツインパワーXD:Ci4+
17ツインパワーXD:Ci4+
17ツインパワーXDはボディがフルアルミ製となっていますが、21ツインパワーXDは20ツインパワーと同様にアルミと樹脂のハイブリッドいわゆる半プラボディとなっています。
そして21ツインパワーXDのローターは先代と変わらずCi4+です。(新型マグナムライトローターになっていると思われるので形状は同じではないはずですが)
これをもう少し分かりやすくするとこうなります。
20ツインパワー:ハイブリットボディ+アルミローター
21ツインパワーXD:ハイブリットボディ+Ci4+ローター
17ツインパワーXD:フルメタルボディ+Ci4+ローター
で、これを見てしまうと、17ツインパワーXDはフルメタルボディ、20ツインパワーはハイブリットボディだがステラと同じアルミローターという優位性があるのに、21ツインパワーXDはハイブリットボディに樹脂ローターということで優位性が無い、改悪だ!という意見もあります。
ハイブリットボディに19ヴァンキッシュと同じローターを載せているのであれば、もはやそれはただの重たいヴァンキッシュなのでは?なんていう厳しい意見もありました。(ヴァンキッシュはマグネシウム+樹脂のハイブリットボディですが)
さらには17ツインパワーXDはボディ設計が14ステラと同じとなっていたこともユーザーの満足度を高めていたのですが、20ツインパワーからストラディックなどと同じ金型(設計)になっています。
そうするとボディ設計は下位グレードと同じ設計のものを使っていて、フルメタルの恩恵もなく、ローターも樹脂ということになってしまうので、たしかにそうしたことを知ってしまうと、うーむ…となってしまう気持ちも分かります。
ただし、17ツインパワーXDは14ステラと同じボディ設計と書きましたが、これはあくまで15ツインパワーのボディがそうだったためで、17ツインパワーXDでは15ツインパワーのボディを使っただけということでもあります。
ですので20ツインパワーがハイブリットボディになった時点で、新型ツインパワーXDもハイブリットボディになるのは必然ではありました。むしろ21ツインパワーXDがフルメタルボディになってしまうと20ツインパワーはなんなの?という話になってしまいますからね…
色々と考察してみる
と、色々書いてきましたが、たしかに現状で出ている情報だけで考えていくと21ツインパワーXDは中途半端になってしまっているというのは否めないのかもしれません。
同じ価格帯で比較しても…
ピュアに軽さを求めるならば、もっと軽いヴァンキッシュがいる。
剛性を求めるならばステラと同じアルミローター搭載の20ツインパワーがいる。
じゃあ21ツインパワーXDはなんなのか?と。
もともとこの中途半端問題については、ツインパワーXDという機種のコンセプトが抱える宿命だと思っています。
なぜならばコアソリッドシリーズであるツインパワーに軽量なマグナムライトローターを載せてクイックレスポンスシリーズにするという、このコンセプト自体が一歩間違えれば中途半端になりかねないモノだからです。
しかしながら17ツインパワーXDは名機と言われていますし、今でもファンが多く、私自身も非常に素晴らしい機種だと思っています。
17ツインパワーXDが名機たり得たのはなぜなのか?
それはやはりステラ譲りのフルメタルボディにヴァンキッシュ譲りのマグナムライトローターという、どちらも非常に完成度の高いものを組み合わせたからなのではないでしょうか?
では今回の21ツインパワーXDはどうか?というと…どうでしょうか。
自重に関してもあくまで17ツインパワーXDと比較すると大幅な軽量化となっていますが、20ツインパワー自体もすでに軽量化されているので、20ツインパワー比だと4000XGでは15g程度の差となります。
じゃあ15gを削る必要性があるか?かたや20ツインパワーはステラと同じアルミローターだぜ?となれば、うーん…15g重くても良いからアルミローターの20ツインパワーの方が良いかも…という気もします。
なので、この機種について突き詰めていくと10g-20gという重量を削りたいか否か?という問題でもある気がします。
もちろんアルミローターとマグナムライトローターの使い勝手の違いというのもありますが。
この10g-20gを削る必要性がない人であれば20ツインパワーを買うべきだと思います。すでに20ツインパワー持ってるならどんどん使い込みましょう。
重量削りたいのであれば21ツインパワーXDが良いかもしれません。しかし19ヴァンキッシュならもっと軽いですよという話でもあります。
多少は軽量化はしたい、だけど(ヴァンキッシュよりは)多少は耐久性も欲しいというならば21ツインパワーXDが良いのかもしれません。
しかしそれは中途半端にならないか?という感じに思えます。
ちなみにスプールはたしかに凄そうです。が、しかし画像引用させてもらっている黒田氏のブログには「このスプールは個別に買える」とも書かれています。
ですのでスプール性能だけでは21ツインパワーXDを買う理由にはなりません。(スプールでリール選ぶ人なんていないと思いますが)
結局買うべきなのか?
と、まあさらに長々と書いてきましたが、結局どうやねんという話です。
まず私はこの21ツインパワーXDを買うと思います。番手は決めていませんが。
ただし、それはあくまでも17ツインパワーXDが名機だったということもあり、私としては21ツインパワーXDに対してまだ淡い期待をしているから、という感じです。
しかし、もし20ツインパワーなどと比較してどっちが良いだろう?と考えられている方がいるのであれば、前述している通り、10g-15gという自重を削る必要があるか?という部分次第かなと思います。
もしくは釣りの種類によっては、ミノーイングなどを頻繁にする場合はマグナムライトローターの方がやりやすいということもありますが、しかしそれであればヴァンキッシュも視野に入りませんか?とは思います。
今後は分かりませんが、少なくとも現時点での実勢価格では21ツインパワーXDと19ヴァンキッシュはほぼ変わりませんからね。
この動画なども見ていて、たしかに磯でヒラスズキなどを狙う釣りをする場合にはミノーも使うし、スプールエッジが頑丈な21ツインパワーXDが良いのかな?とも思いました。
磯にヴァンキッシュ持っていくのはさすがに躊躇しますからね…
しかし、じゃあ磯ヒラのためだけに21ツインパワーXDを買うのか?というと…どうでしょうかね?
少なくとも私の場合は、もう少し汎用性を持っていて、かつ実勢価格も安い20ツインパワーがあるならそっちでも良いのでは…と考えてしまいます。
20ツインパワーはローターがアルミで巻き出しこそ重いですが、そもそもコンセプト的にもローターの素材的にも耐久性は20ツインパワーの方が高いわけなので、耐久性面で考えるならば磯に向いてるのは20ツインパワーだと思います。
あとは耐久性削って(ローターを樹脂化して)10g-15gの軽さを削りたいですか?という話になるのかなと。
もちろん21ツインパワーXDも十分な汎用性はあるんでしょうけども、でも20ツインパワーより価格が高いわけで。
ですので20ツインパワーでも十分なのであればローターもアルミだしそっちでいいのでは?と考えてしまいます。(20ツインパワーのスプールを21ツインパワーXDのものに変えれば完璧ですね)
というわけで、途中から17ツインパワーXDとの比較というより20ツインパワーとの比較みたいになってきてしまいましたが、個人の私見として21ツインパワーXDについてまとめるとこんな感じです。
という感じでしょうか。
とりあえず私は21ツインパワーXDを買ってみて使用感など見てみたいと考えていますが、絶対に21ツインパワーXDでないと駄目だ!という方以外は一旦は様子見でも良いんではないでしょうか?
発売時期は4月頃とのことなので、おそらくそれ以降は実際に使ってみた上でのレビューやインプレが多く出てくるでしょうし、それを見てからでも良いのではないかな?と思います。
実際に使ってみたら超良いぜ!ってこともあり得るかもですし。分からんですけど。
まあそんな感じで長々と考察的なものを書かせていただきました。
少しでも皆さんの参考になれば。
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