先日の19セルテートLT4000-CXHのレビュー記事でも簡単に19ヴァンキッシュ4000XGとの比較はしていましたが、今回はしっかりとした比較をしていければと思います。
もともとあまり比較されることの無いヴァンキッシュとセルテートですが、スペックや使い心地にどういった違いがあるのか詳しくレビューしていきます。
19セルテートLT4000-CXHのレビュー記事はこちら
19ヴァンキッシュ4000XGのレビュー記事はこちら
なぜヴァンキッシュとセルテートの比較なのか
そもそもヴァンキッシュとセルテートって比較対象じゃないのでは?と思う方もいるかもしれません。
が、正直ツインパワーとセルテートについてはすでに他の多くのブログでも比較されている内容ですし、一番大きな問題として私は20ツインパワー持っていません…
というか本来だとヴァンキッシュと比較するならイグジストだろ!って話なんですが、なんというかイグジストって一般的でないというか、ステラは人気あるけどイグジストってそんなに売れてないというか…(小声)
あと19セルテートからLTコンセプトとなっているんで、単純にすごく軽くなっているんですよね。
ボディサイズが統一されていないので全ラインナップを通しての比較はできないですが、少なくとも20ツインパワーと比較しても19セルテートの方が重量的には有利だと思っています。(唯一同じボディサイズがある2500番だと19セルテートの方が僅かですが軽いですし)
もちろんヴァンキッシュを購入する人って、私も含めて圧倒的な軽量さを求めて買っている方がほとんどだと思いますが、とはいえしっかりパワーも欲しいんだぜ、というわがままな方がいるのであれば、軽さとパワーの両立という観点でワタシ的には19セルテートっていう手段もあるんじゃない?とは思ったりもします。
という意味ではヴァンキッシュとセルテートを比較する記事があっても良いのではないか!という半ば無理矢理ではありますが、そういうことを考えて今回19ヴァンキッシュと19セルテートの比較記事を書こうと思い立った次第であります。
ヴァンキッシュとセルテートという機種
そんなヴァンキッシュとセルテートなのですが、そもそもどういう機種なのか?という点を最初に簡単に説明します。
すごくざっくりヴァンキッシュとセルテートという機種の位置づけを紹介すると…
ヴァンキッシュはシマノのクイックレスポンスシリーズのハイエンド機種となります。(クイックレスポンスの対となっているのがコアソリッドシリーズでそっちのハイエンド機種はステラです)
クイックレスポンスシリーズというのは樹脂素材の軽量で非対称なマグナムライトローターという樹脂ローターを搭載してリーリングを軽くして感度を高めているのが特徴です。
またリール自体にも樹脂パーツやチタン素材などの軽量パーツを積極的に採用して、全体の重量を大幅に軽くしています。
ですのでリール自体も軽く、そして巻き出しや巻き出した後も軽く、感度が高いリールがラインナップされているクイックレスポンスシリーズ、そのハイエンド機種がヴァンキッシュ!という感じです。
それに対して今までのセルテートは耐久性に優れた機種として、ダイワのスピニングリールの中では軽量ハイエンドのイグジストと対をなす形で、耐久性ハイエンドのセルテートという位置づけでした。
ですので今までのセルテートはシマノで言うところのコアソリッドシリーズの機種のような扱いでした。
しかし19セルテートからはモノコックボディの採用と共にLTコンセプトとなり、LT=Light & Toughの表すとおり、耐久性と軽量性の両立を求めた機種となっています。
とはいえまだ軽量性ではイグジストの方が有利ですが、セルテートも過去モデルに比べると大幅な軽量化を図っていて、LTコンセプトを実現しています。
そんな感じでメーカーとコンセプトは違えど、どちらの機種も多くのユーザーに支持されているハイエンド機種同士となっています。
今回比較する2機種のスペック
と、そんな2機種を今回は比較していくのですが、今回比較する番手は19セルテートLT4000-CXHと19ヴァンキッシュ4000XGとなります。
まず最初に前提として、19ヴァンキッシュは番手の表記通り4000番ボディとなります。
しかし19セルテートは4000-CXHとなるので、あくまでダイワ規格ではありますがボディサイズは3000番となります。
19セルテートには5000D-CXHという番手も存在しますが、これもボディ自体は3000番ボディとなっています。
ということで19セルテートのラインナップでは4000番ボディというものが存在せず、3000番ボディの上は5000番ボディとなります。
ですのでシマノの4000番ボディと比較する場合は、19セルテートの場合は4000-CXHもしくは5000D-CXHのどちらかが対象となるのが適切かと思います。
で、今回は私が持っている19セルテートが4000-CXHとなっているのでそれを比較対象としている、という感じですのでそこんとこよろしくお願いします。
ということで前置きが長くなりましたが比較する両機のスペックは以下となります。
品名 | ボディ素材 | ローター素材 | 自重 (g) | 巻取り長 (cm/1回転) | ギア比 | 最大ドラグ力 (kg) | 標準巻糸量 ナイロン lb-m PE 号-m | スプール径 | ベアリング (ボール/ローラー) | ハンドルアーム (mm) |
19セルテート LT4000-CXH | アルミモノコック | ZAION (軽量樹脂) | 235 | 99 | 6.2 | 12 | 12-150 1.5-200 | φ51 | 10 / 1 | 60 |
19ヴァンキッシュ 4000XG | マグネシウム + Ci4+ | Ci4+ (軽量樹脂) | 200 | 101 | 6.2 | 11 | 16-150 1.5-320 | φ52 | 11 / 1 | 55 |
まずスペック上で大きく差がある点はやはりリール重量ですね。
19ヴァンキッシュが200g、19セルテートは235gとなり35gも差があります。
たかが35gという考え方をする人であればそもそもヴァンキッシュを買おうとは思わないかと思いますが、少なくとも200g〜300gという重量のリールの世界では35gというと10%以上の重量差となりますので、これはやはり大きな差です。
そして両機の構成素材については19セルテートはアルミモノコックボディ+樹脂ローターとなり、19ヴァンキッシュはマグネシウム+樹脂のハイブリッドボディに樹脂ローターという組み合わせとなっており、金属ベースのボディに軽量な樹脂製ローターという組み合わせは同じです。
ボディ素材についてヴァンキッシュは半プラなどという意見もあるかもしれませんが、ヴァンキッシュはピュアに軽さを突き詰めている機種となり、セルテートは軽量さとタフさの両立を求めている機種となり、そもそものコンセプトが違うため一概にどっちが良い悪いという話ではないと考えています。
また個人的にはヴァンキッシュはピュアに軽さを突き詰めている機種である以上、圧倒的な軽量性を達成するためにボディの一部に樹脂素材を使うことは問題ないと考えてます。(もちろん耐久性や剛性に問題が無いという前提ですが)
あとは糸巻き量も大きく違いがある部分ではありますが、糸巻き量についてはスプール次第ですのでここはあまり重視せずとします。
で、それ以外はほとんど違いがありません。
ギア比も同じ6.2となっていて、巻取り量も一回転あたり2cmの差しかありません。この2cmの差はスプール径が僅かにヴァンキッシュの方が大きいので、これによる差だと思われます。
最大ドラグ力も1kgの差しかありませんので、これも大きな差ではありませんね。
個人的に面白いと思ったのは19セルテートの方がハンドルアームが長くなっています。
基本的にハンドルアームは長いほうがテコの原理が効くのでハンドルを回すパワーは強まり、その分早く巻き取ることも可能となります。
しかし逆に言うとスローに巻きたい時や、繊細にリトリーブをしたい場合においてはハンドルが長いことは邪魔になってしまうこともあります。
まあ細かいことを言うと今回比較しているヴァンキッシュはエクストラハイギアのXGですので、繊細さより巻き取り速度が優先されるギア比なんですが、あくまで19セルテートと19ヴァンキッシュでの比較においてはパワー重視と繊細さ重視という機種の性格の違いが見て取れる部分かなと思いました。
ということで、スペックについてはリール重量には差があるものの、それ以外は大きな違いが無いという感じです。
外観比較
それでは両機種の外観から見ていきましょう。
19ヴァンキッシュ4000XG外観
まず19ヴァンキッシュから。
デザイン云々については好みの問題もあるとは思うのですが、個人的には19ヴァンキッシュのデザインはカッコいいと思っています。
カラーは黒を基調に統一されていて、無駄な装飾や差し色が入っていなかったりするのが良いですね。
ただし、ハイエンド機種らしい高級感のようなものはありません。持った感覚も非常に軽量で、ローターも樹脂製ですし、パッと触った感覚だけだとチープな印象すらあります。
しかし、この機種の性能はもちろんハイエンド機種に相応しいものであり、そういう意味でいうと羊の革を被った狼的な印象です。
高級な機種だからといって高級な見た目をしていない、というのが個人的には好みにあっているのかも知れません。
その他、見た目の特徴としてはマグナムライトローターによる非対称形状なローターです。
あとはロングストロークスプールによってスプールが少し縦長となっていて、そのせいでスプールの存在感が今までの機種に比べると強めになっています。
Ci4+製のマグナムライトローターに付いているベールアームはチタン製です。
ドラグキャップは簡素です。一応は機種専用のキャップなんですかね?
リールのレビューを見ているとヴァンキッシュに限らず「ドラグキャップに高級感がない」とか書いてる人がいますが、個人的にそこはマジでどうでも良いなと思っています。
部屋に飾って悦に浸る目的で購入しているなら重要なのかも知れませんが、ドラグなんて釣りで使ったらすぐに汚れる部分ですし、こんな部分に高級感?を出されて定価が少しでも上がるくらいなら簡素でも良いので使いやすいものにしていてほしいと思っています。
ちなみにこのドラグキャップは摘みやすく操作しやすいです。
高級感は無く簡素ではありますが、機能性としてはなんら問題ありません。
ハンドルアームはローターと同じ樹脂素材のCi4+製のアームとなっています。
C5000番のみアルミ製になるのですが、それ以外の番手はこの樹脂製アームとなっています。
購入時にC5000XGと4000XGで悩んだのですが、せっかくヴァンキッシュ買うんだから樹脂製ハンドルアームが良い…と思って4000XGにしました。(ここに関しては完全にミーハーです)
スプールの内側です。軽量化のために相当な肉薄スプールとなっています。
ドラグ音はキンキンという感じの音色で爆音です。
ドラグ音に関しても好みはあると思いますが、個人的には19ヴァンキッシュの雰囲気と合っているレーシーな印象だと思います。
ということで19ヴァンキッシュ4000XGの外観はこんな感じです。
更に詳しい部分は個別のレビュー記事でも見て頂ければと思いますが、外観やデザイン全体を通して言えることは「無駄なものが無い」という感じで非常にソリッドな印象です。
軽くできるところは可能な限り軽くする、無駄な装飾は省く、カラーリングもシンプルにする。
そういう意志が伝わってくる外観だと思います。
機能美というようなものを感じられる、と言うと少し大袈裟かもしれませんが、F1カーなどの車体がまとっているような「パフォーマンスを突き詰めた結果この形になった」というような、そういうオーラが19ヴァンキッシュにも少し感じられるかも知れません。
19セルテートLT4000-CXH外観
お次は19セルテート4000-CXHです。(ハンドルノブはRCSパワーライトノブLに交換しています)
19ヴァンキッシュを見た後に19セルテートを見ると少しお上品な雰囲気ですね。
ボディ自体は濃紺色となっていて、全体的には濃紺と銀色を基調としたカラーリングとなっています。
ローター部分は樹脂素材であるZAION製で黒っぽいまだらな色となっており、スプールエッジとラインローラーは金色です。
いわゆるハイエンド機種らしい適度な高級感を持っている外観かと思います。
また、19ヴァンキッシュと比較すると余計に分かるのですが、19セルテートのフォルムは全体的に丸みを帯びている印象で、かつ少し横に長くずんぐりむっくりに見えます。
これはおそらくボディ自体がモノコックボディとなっていて、そのせいでボディの横の厚みが薄くなっているので、相対的にローターやスプールが大きく見えるせいかなと思います。
19セルテートの特徴でもあるモノコックボディと、そこに収まるエンジンプレート部分です。
エンジンプレートはアルミの削り出しとなっていて非常にカッコいいです。
シマノ機種と違ってモノコックボディはほぼ左右対称なボディ形状となります。
ご覧の通り私は右巻きなんですが、シマノのハイブリッドボディ(半プラ)機種の場合、ボディ右側は樹脂側になってしまうんですよね。
しかしダイワのモノコックボディの場合はボディが左右対称な形状となっているので、ハンドルの付ける向きによっての剛性の差が無いのは右巻き派にとって良いことだ!と個人的に勝手に満足しています。(シマノ機種の場合に剛性の差があるのか知りませんが)
19セルテートのベールアーム部分です。
シマノ機種のベールアームに比べるとかなり太いです。
ベールを起こした時の感触は「モチッ」っとした感じで、カチカチッ!という感触ではありません。
スプールの内側です。
こちらも19ヴァンキッシュに負けず劣らずでかなり肉薄な造りとなっています。
感覚的には19ヴァンキッシュの方が僅かに肉薄だとは思いますが、そこまで大きな差はないレベルかと思います。
ドラグ音は「コリコリ」といった感じで、音量は少し控えめな感じです。
19ヴァンキッシュのような爆音レーシーな音色ではありませんが、19セルテートの雰囲気には合っていると思います。
という感じで、19セルテートの外観はこんな感じです。
より詳しい外観については個別のレビュー記事をご覧頂ければと思います。
19セルテートの外観・デザインは19ヴァンキッシュとは対極的な印象で、全体的に太く短く、剛性感を感じる外観だなと思います。
全体的なフォルムも丸みを帯びていて、ずんぐりむっくりしている感じなのですが、安定感があるように感じるフォルムかと思います。
無駄を極限まで省くといったヴァンキッシュの思想とは真逆で、むしろ全体を通して余裕を持った作りをしていて、それによって剛性の余裕さであったり、力強さを感じさせるなと思います。
ということで19ヴァンキッシュと19セルテートの外観比較でした。
ここについてはどちらが優れているという話ではありません。デザインについても好みの問題ですしね。
しかし外観から感じる印象は対極的で、極限まで無駄を削ぎ落としてレーシーな印象のヴァンキッシュと、モノコックボディによる剛性感や安定感を感じさせるセルテートといった感じとなっています。
外観デザインだけでどのリールを買うか決める、という人は少ないとは思いますが、とはいえその機種の持つ思想や性能はデザインや外観にも現れると思いますので、そうした意味ではこの両機種の外観を見て、どっちが自分の求めているものに近いのか?というのを考えてみても良いのかもしれません。
巻きの質感を比較
次は巻きの質感についてです。
ここについては用途などを度外視して、純粋な巻きの質感、どっちが巻いていて気持ちいいか?という観点で比較します。
で、結論としては純粋に巻いていて気持ち良いのは19セルテートです。
19セルテートは今回比較している4000-CXHと5000D-XHの2台持っていて、どっちのレビュー記事でも「ヌルヌルで巻き心地最高!」ということを書いていますが、これに関しては今でも思いは変わらず本当に素晴らしいです。
適度な巻き出しの軽さ、そして巻き出した後の回転の滑らかさ、そしてしっかりとした巻き上げのパワーが手に伝わってくる…最高です。
実際に一度でも回せばヌルヌルという表現がどれだけしっくりくる表現なのか分かってもらえると思います。
それに比べて19ヴァンキッシュですが、これも非常に滑らかでノイズもなく素晴らしい巻き心地です。
が、やはりヴァンキッシュは機種のコンセプトとして巻きの軽さに拘っている機種となるため、当たり前ですが巻きが軽いです。というか軽すぎます。(これは褒め言葉です)
しかしながら、これは以前になにかの動画で村田プロが「やっぱり軽すぎると質感は失われるよね」と語っていたのですが、ヴァンキッシュとセルテートを比べるとこれはあるなと思います。
その時の村田プロはステラとヴァンキッシュの比較として話していましたが、ヴァンキッシュとセルテートでも同じことは言えるかと思います。
ですので、これは機種のコンセプトが違うのでどちらが良い悪いという話ではありませんが、純粋に19ヴァンキッシュと19セルテートを巻き比べたら19セルテートの方が質感は良いよ!というお話です。
19ヴァンキッシュは19セルテートと比べて巻きの質感は確かに劣るが、クイックレスポンスな機種として巻きの軽さを突き詰めていてそれを実現しています。しかも巻きは軽いけども非常に滑らかではあり、16ヴァンキッシュに比べると質感は間違いなく向上しています。
19セルテートも樹脂ローターなどを採用しているので巻き出しの軽さはありつつも、さすがにヴァンキッシュと比べると重いのは事実です。しかしそうした部分もあって巻きの質感はヴァンキッシュを上回っているということですね。
ちなみに知り合いが最近20ツインパワー4000XGを購入したので釣り場で触らせてもらっていたのですが、20ツインパワーも巻き心地は非常に良いです。金属ローターってやっぱり良いなと実感しました。
ただ、どっちが良いか選べと言われれば19セルテートです。これに関しては20ツインパワーを購入した友人も同意見です。
というかその知り合いは以前に私と一緒に釣具屋で19セルテートと20ツインパワーの巻き比べをしていて、やっぱり19セルテートが巻き心地いいねーとは言いつつも、彼はシマノ派なので20ツインパワーを購入している感じです。(けっこう頑張ってセルテートを布教したのですが改宗できずでした)
という感じで、巻きの質感の比較でした。
しかしヴァンキッシュとセルテートを比較して、巻きの質感でどっちを買うか決めるということもないと思いますので、あくまでここは参考としてという感じですね。
飛距離・キャストフィールの比較
次はキャストした時にどうか?という部分の比較です。
まず以前の記事でも触れていますが、飛距離については正直ほとんど差は無いと思います。
私がよく行くポイントでは70m程度先にある橋脚に向かってよく投げているので、その橋脚を目印としてどっちが飛んでるか?という感じで比較しているのですが、19ヴァンキッシュと19セルテートで差はほとんどありません。
まあ強いて言うなら19ヴァンキッシュの方が僅かに飛んでるかな??とは思ったりもするんですが、とはいえ飛距離って風の影響がとても大きい部分なので…っていう感じですね。
一応19ヴァンキッシュにはロングストロークスプールというものが搭載されていて、今までのシマノ機種のスプールに比べて少し縦長なんですよね。
一応これが飛距離アップに繋がる!とのことなので、もしヴァンキッシュの方が飛んでるとするならばロングストロークスプールの恩恵はあるのかもしれません。
あとは単純に19ヴァンキッシュの方が重量が軽く、そのおかげで僅かですがロッドの振り抜きがしやすいというのは確かにあるので、こうした点も影響としてはあるかなとは思います。(これはタックルバランスによる部分でもありますが)
とはいえ両機を比べても圧倒的な飛距離の差とかは無いので、飛距離などを気にされている方がいれば、正直どっち選んでも別に変わらんっすよってことをお伝えしておきます。
ただしキャストフィールという点では19ヴァンキッシュの方が投げていて間違いなく気持ち良いんですよ。
これに関してはおそらく前述しているロングストロークスプールのおかげなのかな?と思っているんですが、キャストした後のラインが出ていく感触がブワーッと手に伝わるような感覚でして、それが気持ち良いんですよね。
19ヴァンキッシュのシマノ公式サイトにも↑のようなイメージ画像がありますが、なんとなくこのイメージ画像の意味が分かる気がする…っていう感じの感触です。
まあ別にこれで釣果が変わる話でも無いんですが。
ただ、キャスト毎にほんの少しの気持ち良さを得られるというのは19セルテートには無いことですので、そうした意味では19ヴァンキッシュの方がキャストフィールは良い!という話ですね。
ちなみにこれがロングストロークスプールのおかげなのだとしたら、現行のツインパワーやストラディックにもロングストロークスプールは搭載されているので、別に19ヴァンキッシュに限った話ではありません。
巻き上げパワーの比較
次は巻き上げパワーについてです。
これに関しては間違いなく19セルテートに軍配が上がります。
19ヴァンキッシュ4000XGと19セルテート4000-CXHの比較では明確に19セルテートの方がパワーがあります。
というのも、もともと私は19ヴァンキッシュ4000XGでシーバスをやっていたのですが、最近良く行っているポイントでは飛距離が必要なので30g前後のメタルバイブをよく投げています。
かつそのポイントは川の流れもかなり早く、水深もけっこう深いポイントです。
で、そんなポイントで30g前後の抵抗の強い鉄板バイブを巻くと19ヴァンキッシュではかなり巻きが重く、ある程度続けていると巻き疲れが発生してしまっていました。
しかし19セルテート4000-CXHでは軽々と巻き上げられます。
今まで19ヴァンキッシュだと1時間も続けていると腕が疲れてしまい、ルアーをバイブからミノーに交換したりしていたんですが、19セルテートではそんなことをする必要がありません。
4000MHGや3000MHGのヴァンキッシュであれば違った話になるのかもしれませんが、スペック比較であった通り今回比較している両機種はギア比も同じになっているので、少なくとも同じギア比での比較の場合は19セルテートの方が圧倒的にパワーがあります。
あと19セルテート4000-CXHはボディサイズが3000番となっていて、19ヴァンキッシュ4000XGは4000番ボディとなり、同じメーカーではないので単純比較はできませんが、ボディサイズ的にはコンパクトな19セルテートの方がパワーがあるという点もすごい部分ではあります。
YouTubeで機材のインプレや比較動画をアップされている方も19セルテートと20ツインパワーをパワー比較していて、その動画の中で19セルテートの方が明確にパワーがあると言っていたのですが、19ヴァンキッシュとの比較でも同じかそれ以上の差がある、という感じだと思います。
とりあえず巻き上げのパワーに関しては19セルテートが圧倒的です。
リール剛性について
そして次は剛性についてです。
剛性というのは巻き上げパワーのように分かりやすく比較することは難しい部分であり、あくまでも剛性”感”というような感覚的な部分になってしまうのですが、こちらについてもやはり19セルテートに軍配が上がります。
これはもちろんリール自体が持つ重量の問題もですが、それよりもやはりモノコックボディによる恩恵が非常に強いと感じています。
とはいえ19ヴァンキッシュも超軽量な割には驚くほどしっかりとした剛性を感じられます。
しかし両機を比較した場合の感触としては、19ヴァンキッシュはカチッ!という硬い感じの剛性感で、もし許容以上の荷重が掛かった場合はパキンと割れてしまいそうな、そういう感触なんですよね。(実際に割れるとは思っていません、ヴァンキッシュの持つ剛性感を感触として表現しています)
それに対して19セルテートはどっしりした粘り強い剛性感を感じることができ、許容以上の荷重が掛かっても曲がったりしつつも耐えてくれそう、というような印象を感じます。
19ヴァンキッシュで70cmオーバーのシーバスを掛けた時、けっこう走り回ったりもされたのですが、なんら問題なく余裕で寄せることもできて、最後はぶっこ抜いたりもしているので、普通に使っている上で19ヴァンキッシュでも19セルテートでも剛性不足を感じることは無いと思います。
もしあるならば、想定外の魚種や大物を掛けてしまった時、明らかに4000番の領域を超えているような魚を掛けてしまった際に、どっちが信頼して使えるか?というレベルの話ですね。
そうした場合に、どちらかを選べとなれば私は19セルテート4000-CXHを選ぶと思います。
ボディサイズは19ヴァンキッシュよりも小さいですが、剛性面で最後の最後で信頼できそうなのは19セルテートかなと。
ま、そんなギリギリの勝負みたいなの一度はしてみたいもんですが…
機種ごとの向いている釣りは?
次は19ヴァンキッシュと19セルテートの向いている釣りはなんぞや?という比較です。
今回比較しているのは19ヴァンキッシュ4000XGと19セルテート4000-CXHとなり、どちらも非常にレベルの高い機種となるので、向いていない釣りなんてものは当然ありませんが、あくまでも非常に高いレベルの話としてどうか?という話です。
19ヴァンキッシュは今まで書いてきた通り、自重が非常に軽く、巻き出しや巻き出した後の回転も同じく非常に軽いです。そしてそれに比例する形で感度も非常に高い。
しかしあくまで19セルテートとの比較ではありますが、巻き上げのパワーは劣ります。
ですのでこれらを総合すると、クイックレスポンスシリーズのコンセプト通りではありますが、ミノーイングや繊細なリーリングが求められる釣りにはベストマッチします。
特にミノーを巻いている時は19セルテートよりも圧倒的に自由自在感があります。
止めたい時に止めて、巻きたい時に巻けて、そして水中の僅かな状況変化も瞬時にハンドルノブを通じて手に伝わってきます。
しかしその反面、重たいメタルバイブやジグなどをゴリゴリ巻いてくる釣りでは疲れます。
19セルテートの場合は、自重や巻き出しの軽さという点では19ヴァンキッシュには劣ります。
しかし巻き上げのパワーは圧倒的に強く、しかもパワー特化の脳筋キャラというわけではなく、軽量ローターを搭載しているおかげで(ヴァンキッシュには劣るが)巻き出しの軽さもしっかり確保はできています。
ですのでクイックレスポンス最上級のヴァンキッシュと比べるとさすがにミノーイングの快適性や繊細さでは劣るが、それでもハイレベルな次元であるのは間違いなく、かつメタルバイブやジグなどをゴリゴリ巻いてくることもできるので、非常に高いレベルでのバランスの良さがあります。
ですので1つのリールでなんでもこなしたいという方であれば間違いなく19セルテートの方が汎用性は高いです。
ミノーイングの快適性や繊細さが劣るとはいえ、それはあくまでもハイエンドのヴァンキッシュと比べての話ですからね。
しかしミノーイングを専門としている方や究極の繊細さを求めている方であればヴァンキッシュ一択になるでしょう。
高次元な汎用機のセルテートか、最強の軽さと繊細さを持つヴァンキッシュというイメージかと思います。
RPGでいうと攻撃防御のバランスが良いナイトがセルテートで、防御力はないけど一撃必殺の攻撃特化の忍者がヴァンキッシュって感じですかね…すいません謎の例えですが。。
比較まとめ
ということでここまで長々と比較をしてきましたが内容をまとめていきます。
比較した内容をまとめるとこんな感じですね。
こうやって見返すとどちらかが圧倒的に優れているというわけではなく、甲乙つけがたい感じになっていますね。
私個人としては、シーバスからサーフや青物まで色んな釣りをするので、どっちのリールの方が出番が多いか?と聞かれれば19セルテートになるでしょう。
しかし仮に私がシーバスしかやっておらず、かつナイト主体だったりミノーを多用するのであれば19ヴァンキッシュをメインにする可能性の方が高いです。
現にシーバスのプロは19ヴァンキッシュの利用率高いですからね。
もしくはサーフでもミノー主体の方は19ヴァンキッシュを使っていたりします。
しかし私は今のところシーバスでもサーフでも鉄板バイブやメタルジグの利用率が高いので、そういう場合は19セルテートの方が有利です。
あと一応念の為ですが、これはあくまで19ヴァンキッシュと比較したらの話でして、別に19セルテートだとミノーイングが快適ではないとか、繊細さが無いという話ではまったくありません。
19セルテートでも十分以上に快適にミノーを使えますし、繊細さもしっかりあります。19ヴァンキッシュはその領域に特化しまくっているので、さすがにそれと比べてしまうとね…という話なだけです。
ということでまとめると、前述している通りではありますが1つのリールでなんでもやりたいのであれば19セルテートを選ぶべきでしょう。
19セルテートにはなんでも受け止められる懐の深さがあります。
素晴らしい巻きの質感と圧倒的な巻き上げパワーを持ち、ヴァンキッシュには劣るが十分軽量で、なおかつ耐久性もある(らしい)
ミノーイングからライトショアジギングまでなんでも高いレベルでこなせるやつです。
しかし究極の軽さ、究極の繊細さ、そして自由自在にミノーを操るコントロール性能が欲しいのだ!というならば究極特化型機種のヴァンキッシュを選ぶべきでしょう。
軽さ、繊細さ、コントロール性、すべてにおいて「最上級」ではなく「最上」のものを提供してくれます。
少なくともこれらの領域においてはステラ以上なのは間違いないですからね。だからヴァンキッシュが唯一最高のものを提供すると言っても過言ではないかと思います。
という感じで、両機種ともに素晴らしい機種である、しかしながらコンセプトが違うためユーザーの求めるものによってどちらがベストかは変わる、という最初から分かっていた通りの結果となりましたね。
まあ最初からこうなることは分かってはいつつも、とはいえこうした比較があっても良いではないか!と無理やり始めた比較なので致し方なしです。
ということで19セルテートと19ヴァンキッシュでどっちを買うべきか悩んでる人がいれば参考として頂ければと(そんな人いるのか?)
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