【王道シーバスパックロッド】 APIA グランデージ83ML-5 購入直後レビュー

アピア グランデージ83ML-5インプレ

先日トランスセンデンスというパックロッド専門メーカーのヒラスズキ向けパックロッドであるエンピナード91S+を購入したのですが、それを使って以来すっかりパックロッド好きになってしまいました。

仕事終わりなどに自転車でさくっと釣りに行きたい時、パックロッドであればバッグにロッドとルアーとリールをバコッと収納してサッと出掛けられるので非常にお手軽・簡単です。

で、そんな感じでエンピナード91S+を使っていたのですが、人間の欲というのは限りないものでして「もう少し軽いルアーを投げられる柔らかいパックロッドも欲しい…」となりまして、今回アピアのグランデージシリーズの中のマルチピースラインナップとなるグランデージ83ML-5を中古で見つけたので購入しました。

ということでこのグランデージ83ML-5を早速レビューしていければと思います。

シーバスに使えそうな各社のパックロッド・モバイルロッド候補を洗い出した時の記事はこちら

トランスセンデンス エンピナード91S+のレビュー記事はこちら

APIA グランデージ83ML-5の基本スペック

ということで、まずはグランデージ83ML-5の基本スペックは下記になります。

メーカー:APIA(アピア)

品名:GRANDAGE STD. 83ML-5

  • Length:8.3ft
  • セクション数:5ピース
  • 仕舞寸法:595mm
  • Weight:165g
  • グリップ長:330mm
  • ルアー重量:5g-28g
  • ライン:PE #0.6 – #1.2
  • ガイド:ステンレスKガイド、SiCリング仕様

スペックだけ見ると特に尖った部分も無く、湾奥シーバスど真ん中!といったスペックですね。

強いて言うならば8.3ftで165gなので若干ロッド重量は重めかな?とは思いますが、マルチピースですし個人的には許容範囲かなと思います。

ちなみにグランデージシリーズのマルチピースロッドだと83ML-5の1つ上のパワーである90M-5という製品もあります。

こちらは同じく5ピースのマルチピースモデルで、ロッド長は9ft、ルアー重量10g-35gのMパワーとなっています。

汎用性としては90M-5の方が間違いなく高いとは思うのですが、私の場合は長尺&硬めのパックロッドであればすでにエンピナード91S+があるので、今回は用途が被らないMLパワーの83ML-5を購入しています。

アピアというメーカーはシーバス界では非常に有名なメーカーとなっていて、ロッドだけでなくルアーなども出しています。

私もシーバスをやっている以上は気になっていたメーカーではあり、過去にサーフにも使えるシーバスロッドを探していた時、Foojinシリーズを購入候補として検討したりもしていたのですが、とはいえなんだかんだと他のロッドを買うなどして今まで実物に接することが無かったメーカーとなります。

パックロッドではありますが初アピアということで、どんなロッドなのか楽しみですね。

アピア グランデージ83ML-5の製品サイトはこちら

GRANDAGE
自分や仲間たちのフィッシングギアを作る。 Angler's Utopia - APIA -

外観インプレ

では早速ロッド外観などを見ていきましょう。

アピア グランデージ83ML-5
アピア グランデージ83ML-5 付属品一式

ロッド以外の付属品は上の画像にある通り、セミハードケースと薄手のロッド袋となります。

ロッド袋はセクションごとに分けて収納することが可能な袋になっていて、収納した後はクルッと巻いた状態でマジックテープで止めることが可能です。

セミハードケースは微妙に大きい感じでして、せっかくのパックロッドなのにコンパクトに持ち運びしづらい感じになってしまうので、私はセミハードケースは使わずロッド袋の状態でバックパックに収納して持ち運んでいます。

アピア グランデージ83ML-5
アピア グランデージ83ML-5 スペック表記

スペック表記はこんな感じです。

アピア グランデージ83ML-5 グリップ
アピア グランデージ83ML-5 グリップ

グリップ部分です。

地味に優秀なのはリールシートがダブルロックになっています。

湾奥シーバスの場合は特にキャスト回数が多くなり、けっこう頻繁に締め直しが発生するのですが、GクラフトやAPIAはそうした部分をキチンと意識してダブルロックにしているあたり、さすがシーバスに強いメーカーだなと思います。

アピア グランデージ83ML-5 リール取り付けイメージ
アピア グランデージ83ML-5 リール取り付けイメージ

リールを付けた状態です。

取り付けているリールは17ツインパワーXD C3000XGです。

ロッド長が短く、MLパワーということもありリールサイズはシマノだとC3000番がちょうど良いサイズ感だと思います。

アピア グランデージ83ML-5 ブランクス
アピア グランデージ83ML-5 ブランクス

ブランクスの表面はこんな感じでヌメヌメとした表面になっています。

Gクラフトのロッドも同じような表面ですが、グランデージはクリアが厚く艶がありますね。

ちなみに公式サイトによるとブランクスに関しては…

ブランク素材は24t.~40t.カーボンプリプレグ採用、カーボンソリッドティップは24t./30t.素材を高精度研磨。嵌合部は高精度研磨仕上げによるローテーパー・フェラライトフェルール。STD.及びXDシリーズは#1元部・フェルール受け口(嵌合部)に3Kブレイデッドグラファイトをプライアップ。

*剛性を適切に分布させるようカーボンシートを配した工法に、ブランクの外周方向の強度に関わる層にSpecial Nano Resin HM45を導入。

https://www.apiajapan.com/product/rod/grandage/#Section05

とのことで、24t-40tまでのカーボンシートの組み合わせとなっているようで、今流行りのナノ工法も使われているようです。

アピア グランデージ83ML-5 ガイド
アピア グランデージ83ML-5 ガイド

ガイド部分です。

基本スペックでも記載の通り、ガイド仕様はステンレスKガイドにSiCリングとなっています。

ガイド径は特に大きいわけでもなく標準的なサイズ感です。

アピア グランデージ83ML-5 ガイド比較
ガイド比較 左:グランデージ83ML-5 右:GクラフトMWS-972TR

ちなみにGクラフトのMWS-972TRの小径ガイドと比較するとこんな感じです。

Gクラフトの小径ガイドの小ささが分かりますね。

アピア グランデージ83ML-5 グリップ比較
グリップ比較 上:GクラフトMWS-972TR 下:グランデージ83ML-5

で、そのままMWS-972TRとグリップ長の比較です。

同じMLパワー同士のロッドではありますが、グランデージの方が短尺であるということもあってか、50mmほどグリップ全体長は短くなっています。

ということで外観についてはこんな感じです。

全体的に無駄な装飾はなくシンプルな外観です。

グリップやガイドに関しても特に奇をてらった感じもなく、王道感があり万人受けするように思いました。

継いでみた印象

ということでまずは自宅で継いでみた印象です。

まずこのロッドを継いだ時に、最初に思ったのは「柔らか〜い」ということです。

あれ?これLパワーだったかな?と錯覚するほどめっちゃくちゃ柔らかく感じます。特にティップ付近が柔らかく、かつ荷重が少し掛かるとベリーまでスッと曲がりこみます。

自分が今までパキパキ系の高弾性ロッドばかり使っていたので特に柔らかく感じるのかもしれませんが「こんな柔らかくて投げられるのか!?」とビビっていました。

とはいえ、曲がりは非常にスムーズでマルチピースを感じさせない曲がり方です。

素直というか、癖が無いという方が表現としてしっくりきますが、入力したパワーを無理なくそのまま曲げて受け止めてくれるというような感覚の曲がり方です。

ロッドアクション的には一応レギュラーファーストとなるかと思いますが、かなり胴寄りのアクションです。

改めて製品サイトの情報を熟読していると…

GRANDAGEはアングラーの力量を問わず、飛距離を安定的に稼げるロッドアクションを定量化。多くのモデルは極端なテーパーデザイン/ロッドアクションを避け、多様な状況に対応する汎用性を追求。

しなやかなキャストフィールで、安定した飛距離性能を備える。ロッドアクションを損なわず、スムーズな曲がりを実現するフェラライトフェルール(逆並継ぎ)を採用。熟練職人によるローテーパー仕上げ。

https://www.apiajapan.com/product/rod/grandage/

「極端なテーパーデザイン/ロッドアクションを避けている」というのは確かに納得な感じです。

逆に言うと今までがGクラフトなどの極端な高弾性ロッドばかり使っていたので新鮮に感じているのかもしれませんが…

またフェレール部の精度は中古だからかも知れませんがけっこうガバガバです。

ただ、ガバガバな割にはしっかり奥まで嵌ってくれて簡単に緩む気配はありません。

トランスセンデンスはピッタリ過ぎて抜き差しやガイド位置の微調整が毎回大変なので、多少ガバッてるくらいの方が調整もしやすいし良いなとは思っています。

また最初は気づいていなかったのですが、各セクションのフェレール部に83ML-5という表記が付いていて、継ぐ時はこれが上になるよう目印にしてね、ということのようです。

アピア グランデージ83ML-5 継ぎ目部分
アピア グランデージ83ML-5 継ぎ目部分

同じパックロッドであるトランスセンデンスのエンピナード91S+はこうした目印が無いので、一旦ある程度目測でセンターを取りながら継いだ後に、ガイドを見ながら各セクションごとにズレを調整しないといけないのが地味に面倒なのですが、このグランデージ83ML-5は目印があるので助かります。

キャストフィール

ということで翌日、近くの川で実際に投げてきました。

APIA グランデージ83ML-5 試投
アピア グランデージ83ML-5 試投

とりあえず最初は「柔らか過ぎるし大丈夫かよ…」という感じでおっかなびっくりな感じで10g程度のミノーを軽めに投げていたのですが、何度か投げている内に「あれ?もっと曲げれるな」と思ってきまして、少しづつ垂らしを長めにしてフルキャストしていきました。

で、1時間もすればバシバシにフルキャストしていたんですが、結論としてこのロッド「めちゃくちゃ投げやすい」です。

まずロッド全体が柔らかいのは確かなのですが、ベリー付近はそれなりに弾性があります。ですので軽い力でもしっかり曲げられて、かつベリーの弾性を活かして反発が効かせられます。

なので軽い力でもそれなりに飛距離が出せます。

また、ロッド自体がしなやかでロッドの持つキャパシティが広いというか、キャスト時にかなりしっかり曲げ込んでもロッド自体が無理していない感触なんですよね。

今まで使っていたGクラフトなどのロッドの場合は、弾性が非常に強く全体的に硬めなので、ガツンと曲げこんでしまうとブランクスが無理をしているような感触があったのですが、このロッドにはそれが無い感じです。

「ロッドのしなやかさってこういう事なんだ…!」という謎の感動がありました。

あとは前述した通り、ロッドアクションに全然癖が無いので、どこかの箇所だけが特に曲がり込むということがなく全体的に綺麗に曲がってくれます。

それもあってキャスト時にロッド全体が無理をしていないように感じるので、結果、思う存分フルキャストできるという感じですね。

ロッド長が短めだからというのもあるのかもしれませんが、投げ終わりの先端のブレに関しても特に気になりません。

今回キャストしていたルアー重量は8g-18gのミノー、14g-18gのメタルジグ、14g-18gのワームという感じですが、どれも気持ちよく投げられましたので、MLロッドで使われるルアーはまったく問題なく使えます。

個人的には10g〜20gくらいまでがベストマッチなルアー重量かと思います。

これはルアー重量5g-28gというスペックからするとけっこう広めなイメージです。

もちろん10g以下でもまったく問題なく投げられるのですが、軽量になるとどうしても飛距離が出にくいので、気持ちよく飛ばせるルアー重量としては10g-20gかなという感じです。

飛距離としては14gの鉄板バイブで50m-60mくらい、14gミノーで40m-50mくらいかな?という感じで、正直そこまで飛ばせません。

また、ティップが柔らかいこともあって、風が強いとかなり投げづらくなります。

風が強い日でもビシッとキャストするのであればGクラフトやヤマガブランクスなどの高弾性ロッドの方がやはり有利ですね。

あと一点、投げている時に気になったのはグリップの短さですね。

これは8.3ftというロッド長的にグリップをあまり長くできないので仕方ないかとは思うのですが、グリップが短いのでキャスト時にグリップエンド部分でテコを効かして投げる、というのがしづらいなぁと感じました。

とはいえこれもしっかりテコを効かして飛距離を出したいのであればもっと長尺のロッドを使うべきという話なので、ここについては仕方ない部分かとは思います。

タックルバランスについて

タックルバランス、持ち重りや先重りについてです。

私がこのロッドに合わせているのは17ツインパワーXDのC3000XGでリール重量は235gとなります。

この組み合わせの場合で重心は下記になります。

アピア グランデージ83ML-5 重心位置
アピア グランデージ83ML-5 重心位置

若干先端側に重心が寄っている感じですが、個人的にはこの組み合わせでなんら問題なく使えています。

さらに手元に重心を寄せたいのであれば、もう少し重めのリールを合わせればリールシート直下あたりに重心を持ってこれるかも知れません。

とはいえ、あまり重いリールを付けるとせっかくの8.3ftというロッド長の軽快さや取り回しの良さがスポイルされてしまう気もするので、個人的には200g-250g程度のリールを合わせて使っておけば問題ないかなと思います。

魚をかけてみた

で、購入早々に実際にシーバスを釣ることができました。(最近は季節が良くなってシーバスがちゃんと釣れるようになってきてありがたいですね)

グランデージ83ML-5入魂
祝!APIA グランデージ83ML-5 入魂

今回釣ったのは50cm程度のシーバスで、フッキング直後からエラ洗い連発してきまして、かなり元気だったのでその後も右に左に走り回っていました。

エラ洗いを連続でしてきたのでフックアウトが怖かったのですが、ロッド自体が柔らかいおかげで常にロッドテンションを維持できるので、魚が飛んでラインテンションが緩むシーンでもロッドが全部吸収してくれます。

さらに岸際のランディングの際にも相当暴れまして、ライン切れの不安があったのですが、その際もロッド(特にティップ)が瞬間的な負荷をしっかり吸収してくれたので無事にランディングできました。

トランスセンデンスのエンピナード91S+はパワーファイトで一気に勝負を掛けにいくロッドですが、このグランデージ83ML-5は時間を掛けて魚をしっかりいなせるロッドだなぁと感じました。

ですのでゴリ巻きで寄せてくるというのも魚のサイズによっては可能でしょうが、そういうやり方よりも丁寧に寄せつつ魚の動きに追従しながらファイトした方が楽しめるロッドだと思います。

また、今回は50cm程度のシーバスでしたがロッド自体は全然余裕でして、ランカークラスでも余裕で対応できそうなロッドだと思います。

総評

ということで総評です。

今までの内容をまとめると下記になります。

レビューまとめ

・スペックは尖っている部分もなく湾奥シーバスど真ん中

・外観は無駄な装飾無くシンプル

・リールシートがダブルロックなのは◎

・ロッドは全体的に非常に柔らかい

・ただし適度な反発がありキャストは非常にしやすい

・10g-20gと幅広いルアー重量を気持ちよくキャスト可能

・とはいえ短尺なので飛距離はそこまで出ない

・ティップが柔らかいので風が強いとキャストしづらくなる

・グリップが少し短いのが気になる

・ロッド全体が非常にしなやかなので、ファイト中はショックを吸収しやすく頼もしい

・時間をかけて魚をいなして獲るというスタイルが合うロッド

という感じです。

スペックや外観ともに特に尖っておらず、シーバスロッドとしてはTHE王道というようなロッドだと思います。

あえてネガティブに言うと面白みの無い優等生ロッドという感じでしょうか。

しかし高い次元の王道ロッドというイメージで、そして王道だからこそ安定感があり、だからこそ初心者から上級者まで万人が使えるようなロッドだなと思います。

正直MLパワーのシーバスロッドを探している人で、このロッドを買って性能的な部分で不満が出ることっておそらく無いと思います。(長さが足りないとかはあるかもですが)

尖った部分が無いので決して目立つ存在ではないけど、でも必要とされることはしっかりこなしてくれるので、気づいたら使用頻度が最も高いロッドになっていた…ということもあるだろうなーと思います。

しかもこのロッドはパックロッドです。

2ピースのロッドで使いやすいロッドは数多くありますが、選択肢の少ないマルチピースでこうした場所やシチュエーションを問わず使いやすいロッドというのは非常にありがたい存在だと思います。

選択肢がもっと多い2ピースロッドでこのロッドを選ぶか?と聞かれると正直悩んでしまいますが、パックロッドであれば間違いなく価値があるロッドだと思います。

とりあえず自転車などでシーバス釣り行くか、という場合は何も考えずにこのロッドを持っていけば大体なんでもこなせてしまうので、そうした「パックロッドとしての本質的な価値」が非常に高いロッドだなと思います。

とりあえず今シーズンのシーバスはこのグランデージ83ML-5をバシバシ使っていきたいと思います。

ということでシーバス用パックロッドを探している人がいれば是非参考として頂ければと。

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