シマノのワールドシャウラと言えば、釣り界の王こと村田プロがプロデュースしているロッドとして有名ですが、今回知り合いが21ワールドシャウラ ドリームツアーエディション 2833RS-5を購入したので、短時間ではありますが実際に使用させてもらいました。
今回使用させてもらったロッド
まず今回知り合いが購入したのは21ワールドシャウラドリームツアーエディション2833RS-5(名前が非常に長い)となります。
同じワールドシャウラのワールドツアーエディションでも他の品番は先に発売されていたようでして、そっちは20ワールドシャウラとなっていたりと年式表記がちょっと曖昧なのですが、とりあえず今回触らせてもらったものは2021年7月末に発売されていて、まだ発売されたばかりのホヤホヤの21モデルの2833RS-5となります。
ワールドシャウラはラインナップが非常に多く、レングス・パワー・スピニング・ベイトという分岐だけでなく、同じワールドシャウラでもビッグゲーム対応のワールドシャウラBGやマルチピースモデルのワールドツアーエディションなど多種多様なラインナップとなっています。
ワールドシャウラのすべてのラインナップをトータルすると数十種のモデルが存在するのですが、今回は私が使用させてもらったワールドシャウラの中でもマルチピースモデルのドリームツアーエディション2833RS-5というモデルの簡単なレビューをしていきます。
21ワールドシャウラ2833RS-5のスペック
ということでまずはスペックです。
品番 | ロッド長 (ft) | アクション | 継数 | 自重 (g) | ルアーウェイト (g) | 適合ライン | 仕舞寸法 (cm) | 価格 (税抜) |
2833RS-5 | 8.3 | RS レギュラースロー | 5 | 175 | 10-50 | PE MAX#3 | 54.7 | 84,000円 |
ドリームツアーエディションだけでもレングスやパワー違いで12本のラインナップがあり、全部のスペックを紹介していると記事内容があまりにも膨大になってしまうので、とりあえず今回私が使わせてもらった品番のみの紹介です。
2833RS-5はロッド長8.3ftでルアーウェイトが10g-50gということで、見るからにかなり汎用性が高いモデルとなります。
シーバスには非常に使いやすそうなスペックですし、若干短いかなとは思いますが、長さを除けばサーフや磯場でのライトショアジギングにも使いやすいスペックですね。
ドリームツアーエディションという名の通り、国内はもちろん海外遠征時でも(汎用性が高いので)何も考えずにとりあえず持っていくというロッドという位置づけになるかと思います。
そして遠征特化モデルということで5ピースのマルチピースとなっていて、仕舞寸法も54.7cmと機内持ち込み可能な長さに抑えられています。
マルチピースのロッドは各社から多く発売されていて、3ピースや4ピースなど様々なものがありますが、飛行機を使った遠征を考えるならば仕舞寸法60cm以上のマルチピースロッドはあまり意味がありません。
個人的には、例えば仕舞寸法80cmとかそういった中途半端な長さなのであれば2ピースで良いじゃんと思います。(仕舞寸法が80cmでも160cmでもどのみち預け入れになるわけなので)
もちろん国内移動や釣り場に着いてからの行動において、荷物のサイズや仕舞寸法を極力小さくしたいということであれば3ピースなどが活きてくる場合もありますので、あくまで飛行機を使うならば…ではあります。
そしてロッド重量に関しては175gとなります。
私の所有しているAPIAのグランデージ83ML-5が、ロッド長が同じ8.3ftの5ピースのマルチピースロッドなのですが、こちらはMLパワーで165gとなります。
2833RS-5はシーバスロッド換算だとMH〜H相当なので、このパワーで175gというのは非常に軽量かと思います。
2833RS-5はグリップ素材にコルクなど使っていて、外観的な部分では決して軽量化頑張ってます!という感じではないにも関わらずこの重量なので、このあたりはやはりシマノ強いなーという印象です。
で、気になるお値段は定価ですと84,000円(税別)と超お高い感じでして、現時点で楽天市場で見てみましたが実売価格でも65,000円〜80,000円程度となっているようですので、完全に高級ロッドになります。
この金額帯のロッドを購入検討したとしても、情報が無い中ですとなかなか手が出せないかと思いますので、この記事の中で少しでも参考になることをお伝えできれば…と思います。
ちなみにワールドシャウラシリーズの品番の見方は、数字の1桁目がスピニングとベイトの区別、2桁目〜3桁目がロッド長、4桁目がパワー、その後のアルファベットがアクション表記、最後の数字が継数を表しています。
ですので2833RS-5という品番の場合ですと、
- 2:スピニング(1はベイトモデル)
- 83:8.3ft
- 3:パワー3(複数段階設定のあるパワーの中で3の強さ、数字が小さい方がパワーは弱い)
- RS:レギュラースローテーパー
- 5:5ピースのロッド
という感じでスペックを表しています。
外観など
次に外観を見ていきましょう。
釣り場での撮影だったので全体を綺麗に撮影できなかったのですが、まずネームが入っているバット部分です。
赤〜黒に変化していくグラデーションと共にワールドシャウラというロゴとサソリが描かれています。
その上にはドリームツアーエディションという文字も入っていて、ベリーに向かっていく部分は青く宇宙っぽい感じ?のコスモを感じる装飾が施されています。
ベリー部分のブランクスには上の画像のように見る角度によって色が変化するオーロラエアロコートというものが施されています。
いわゆるマジョーラカラーと言った方が一般的かもしれませんね。
ただこれはこのオーロラ感が分かりやすいようにわざと角度をつけて撮影していて、通常だと黒っぽく見えます。
ですのでそこまでギンギラな感じの派手さは無く、あくまでも見るタイミングによってはチラッとオーロラ感があるという感じなので、派手なのはちょっと…という方でもそこまで心配しなくて良いかもしれません。
またブランクスのカーボンの巻き方もセクションによって違いがあり、バット側にはシマノの言う「ハイパワーX」が施されているようで、ブランクス表面に斜めにカーボンが巻かれているのですが、3番セクションから先のティップ側は斜めの巻きがありません。
これは根元側の強さが必要なセクションにはネジレへの耐性を強めるためにハイパワーXを用いて、先端側には柔軟さを求めて斜め方向のカーボン巻きはしていない、ということなのかな?と思います。
が、そうした設計が実際にどれほどの影響があるものなのかは、比較対象が無いので正直よく分かりません。
一番グリップ寄りのガイドはダブルフットとなっています。
で、ガイドラッピングは赤みを帯びた茶色というか小豆色のような感じです。
ガイドの素材はもちろんチタンで、リングの素材はSiCリングです。
シマノのワールドシャウラの商品ページには一部の品番を除いてトルザイトリングっぽい感じで書かれているように見えるのですが、念の為シマノのサイトにて21年モデルの2833RS-5のパーツリストを確認すると全てのガイドのパーツ品番が「T-KTSG」となっているのでSiCリングで間違いないかと思います。(T-KTTGがトルザイトリング仕様です)
で、お高いロッドの割にトルザイトじゃないんかい!という声もあるかもしれませんが、個人的には遠征モデルなのであればSiCで良いと思います。
トルザイトはSiCと比較すると軽量かつ硬いという利点がありますが、その分リングの厚みが薄く作られているので耐久性は劣ります。
磯用ロッドなどのガイドでもトルザイトリングがメインに用いられているのはほとんど無いかと思います。あったとしてもトップガイドはSiCとかで、ぶつけたりしやすい箇所はSiCが用いられているはずです。
なので、このワールドツアーエディションも遠征などで使うことを想定していて、どういったシチュエーションで釣りをするかが未知数というような用途なのであればSiCを使うのは必然だと思います。
逆に言うとトルザイトリングが用いられているロッドは過酷な環境での釣りを想定していないロッドとも言えます。
ですのでシマノがこのワールドツアーエディション2833RS-5にSiCリング仕様のガイドを使っているということは、このロッドは過酷な場所でも使えるんだぜ!という意思表示だと思うので、これは決してネガティブな話ではないかなと思います。
グリップはコルクです。
最近はEVA製グリップのロッドばかり使っていたのでコルクグリップは新鮮でした。
グリップ長に関しては8.3ftのロッドとしては問題ない長さで、キャスト時やリトリーブ時に短すぎることは感じませんでした。
ただしロッドのパワー的にそれなりのサイズの魚が掛かることも想定されるので、そうした魚が掛かった場合は少し短さを感じるかもしれません。
ちなみに非常に見にくいですが、グリップエンドの付近に「2833RS-5」という刻印があります。
グリップを正面から見るとこんな感じです。
真中部分が絞れている形状となっていて握り心地は良好です。
グリップエンド部分は金色の装飾がありますね。
リールシート部分の仕上げも綺麗で、パーツ同士の継ぎ目には細い金色のリングが入っていて、リールシート本体もクリア厚めの塗装が施されています。
リールシート素材を構成する樹脂素材はCi4+になります。
と、外観はこんな感じです。
見た目の印象としては癖が強いデザインなのは間違いないです笑
とはいえそれがワールドシャウラでしょ?という感じなわけで、それが嫌なら他のロッドを買えと村田プロなら多分言うでしょう(私個人の勝手な想像ですが)
こういった癖の強いデザインではありますが、前述したとおりスペック面でも妥協は無い(というか他メーカーでこのスペックは多分作れない)ので決してデザイン優先ではありません。
個人的にはこういった装飾が施されたロッドを決して手荒に扱うというわけではなく、ボロっちくなるまでガンガン使い込んでいけばカッコいいだろうなと思います。
投げてみた印象
ということで前置き?が長くなりましたが、ようやく実際に触ってみて、そして投げてみてどうだったかです。
まずスペックの箇所でも軽いとは言っていましたが、持った感じも当然軽いです。当日装着していたリールは15ツインパワー4000XGでしたが、若干の持ち重りがありました。
大きな問題があるほどの持ち重りではないですが、もう少し軽いリールのほうがバランスは良いでしょう。
そして実際に投げてみると、RSという型番の意味が理解できます。
レギュラースローテーパー、要するには根本までしっかり曲がりまっせというテーパーなのですが、かなり柔らかく感じます。
負荷を掛けるとティップもかなり入ります。
キャストしていたのはサイレントアサシン120fなのでルアー重量は19gなのですが、このウェイトでもキャスト時はティップからベリーまでぎゅーんと曲がります。
ファストアクションに慣れている人ですと最初はかなり戸惑うと思います。
私自身も高反発なレギュラーファーストアクションのロッドばかり使っている身なので最初の数投は上手く投げれなかったのですが、キャスト時の振り抜くスピードを少し抑えれば良い感じに投げれました。
コツというかイメージとしては、振り抜く時にティップよりもバット部を先に振り抜くことを意識する、というようなイメージで投げれば良いのではないかなと思います。
レギュラーファーストなイメージで振り抜くとティップばかり曲がって、ベリー部分の曲がりとティップ部分の曲がりが同調せずに上手くいかないので、ベリー部をできる限り先に曲げてやるようなイメージで投げるとティップとベリーの曲がりが同調して綺麗に振り抜ける、というような感じです。
ま、投げ方は人それぞれな部分もありますが、とりあえずそれくらい全体的に柔らかいぜって話で、正直ほんとに50gまで投げれるのか?という印象です。
とはいえ今回投げた19gではまだまだ余裕ではあり、30gくらいまでは問題なさそうな感覚ではありましたが、40g超えてもフルキャストできるか?というと「これならできる」とは言い切れないかなーという印象でした。
このあたりについては私自身がスローテーパーなロッドにあまり慣れていないこともあるので、今後改めて重めのルアーを投げさせてもらう機会があれば詳しく追記できればと思います。
そしてルアーを巻いてくるときのロッドアクションとしては、ミノーイングは非常にやりやすいです。
ティップは柔らかいですが、適度な反発で気持ちよく操作できます。
しかしサーフなどのショアからジギングをするには逆に柔らかすぎるかもしれません。
軽めのジグであればまったく問題ないでしょうが重めのジグなどを使う場合、ティップが潮の動きや波に揉まれてしまってアクションがつけづらい可能性があります。
河川や湖など、海ほど流れや水中の動きが激しくない場合であればどういったルアーでも問題なさそうではありますが、海での使用をメインに想定している場合は、こういった部分は少し考慮した方がいいかもしれません。
ただ、ティップも含めてロッド全体が柔軟なため、高反発なロッドに比べて魚を掛けてからの安心感は強いと思います。バイトを弾くということもほとんど無いでしょう。
当日は購入した知り合いがこのロッドで50cm程度のマゴチを釣っていましたが、常にロッドが綺麗に曲がっていて、テンションが緩みにくそうな印象でした。
最後は2mくらい高低差がある状況でぶっこ抜いていましたが、それもまったく問題なさそうでした。
ですので柔軟ではあるが、粘り強さがあるというか芯は強いというような感じだと思います。
決してヘニャヘニャなロッドではないですね(この金額なんだしそんなの当たり前ですけども)
総評
ということで総評です。
というか自分のロッドでも無いので偉そうに総評とか言うのもおこがましいのですが…
・スペック的には汎用性が非常に高い
・シーバス、サーフ、ライトショアジギングなど幅広い用途に使用可能
・デザインはワールドシャウラ!という感じで癖が強い
・ロッド重量も軽く、デザインに負けずきちんと高性能である
・仕舞寸法的に飛行機での移動を伴う遠征にも対応
・RSテーパーでロッド自体は非常に柔らかいので慣れが必要かも
・50gまでフルキャストできるかはちょっと不安(個人的に)
・ショアからのジギングなどの場合、流れが強い場所では少しティップが柔らかすぎるかも
・ロッドケースも超豪華(写真は無いですが)
という感じです。
なんといっても汎用性の高さ、どんな場所に行く時にでもとりあえず持って行こうと思えるスペック。
これこそに価値があるロッドだと思います。
8.3ftのレングスで10g-50gが投げれて、かつ5ピースのマルチピースロッドというスペック、これありそうでなかなか無いんですよね。
自分はAPIAのグランデージ以外にも10.8ftと9.1ftを変換できるマルチピースロッドとしてトランスセンデンスのエンピナードも所持していますが、エンピナードと比較すると性格は全く違うロッドです。
グランデージはスローテーパーなロッドなのでスペックは違えど印象はちょっと似ているかも、と思います。
エンピナードはヒラスズキ向けのロッドとなっていて、磯場での使用をメインに想定されていることもあってけっこうガチガチなロッドなのですが、このワールドシャウラはそれとは逆に非常に柔軟なブランクスとなっています。
使用を想定する場所が違うので性格が違うのは当然なのですが、エンピナードは剛、ワールドシャウラは柔というようなイメージです。
本当の意味でどこでも使えるロッドというと、やはりワールドシャウラのような柔なロッドでしょう。
磯場など高い位置からの釣りで掛けた魚をぶっこ抜く可能性もある、というような限定されたシチュエーションにおいては当然エンピナードの方が適しているのですが、ボートからの釣り、河川での釣り、サーフでの釣り、平磯での釣り…など、あらゆる場所で快適に釣りをする、ということであればこのワールドシャウラのようなロッドが良いでしょう。
あえて言うならば「決して最適解にはならないが、しかしどこでも信頼して使えるロッド」というのが、このロッドの評価としては適当なのかなと思います。
100店満点は取れないけど、どこでも平均以上の仕事はしてくれる、みたいなロッド。
だからこそ、限定された場所や限定されたシチュエーションでこのロッドを使うのは少しもったいない気もします。
色んな場所でいろんな釣りをする可能性がある、だからワールドツアーエディションを買う…
なんとなくそれがこのロッドの本質なのかなと思います。
という感じで、自分のロッドでもないのに偉そうに長々と語ってしまいましたが、もし購入検討されている方がいれば少しでも参考になれば幸いです。
コメント